福岡県筑紫野市の小学3年生・城拓海くんは、先天性の病気の影響で1歳の時に右足を切断し、義足で生活しています。パラリンピック出場という大きな夢を持つ拓海くんが17日、初めてマラソン大会に挑戦しました。
パラ陸上の第一人者・山本篤さんが指導
先月、福岡市で開かれた、義足の利用者向けの陸上教室に筑紫野市の小学3年生・城拓海くん(9)が参加しました。
特別講師を務めた山本篤さんは、パラリンピック走り幅跳びの銀メダリストで、拓海くんにとっては憧れの存在です。
山本篤さん「両方もも上げるよ!義足側の方を上げる。速く上げる必要はないよ、もも上げるのが大切!」
憧れの人を前に少し緊張気味の拓海くん。山本さんから速く走るためのコツなどを懸命に学ぼうとしていました。
山本篤さん「つまらないけれど、これをするとしっかり走れるようになるし、走る基礎になる」
城拓海くん「(会えて)うれしかった」
Q.聞きたいことは聞けた?
城拓海くん「聞けた。どうやったら膝継手(義足)で速く走れるとか。足を前に出して(走って)いるところとか違った」
山本篤さん「すごく僕が言っていることを一生懸命できるような、自分でどういう風にしたらできるんだろうっていうのを考えてやってくれていましたので成長が楽しみですね」
義足で1・9キロのマラソンに初挑戦
拓海くんの母・憲子さん「きょうは何キロ走りますか?」
城拓海くん「1.9キロ。走れたら」
山本さんのアドバイスを思い出しながら練習に励む拓海くん。
Q目標タイムはどれくらい?
城拓海くん「15分。とりあえず1.9キロ全部走る」
「よーいスタート」
1週間後のマラソン大会に向けてこの日、初めて本番と同じ距離に挑戦しました。
拓海くん「今何分?」
母・憲子さん「今7分47秒」
これまでで一番長い距離を走りましたが、見事完走。目標を上回る14分41秒でゴールしました。
Qそんなに長く感じなかった?
拓海くん「けっこうきつい」
Qマラソン大会の目標タイムは?
拓海くん「13分!」
母・憲子さん「完走してくれれば頑張って」「(山本篤さんに)近づきたいじゃないですけど、頑張ってもらえたらいいかなと思っています」
長崎で初のマラソン大会に参加
そして迎えた大会当日。
Qどう体調は?
城拓海くん「ばっちり」
拓海くんの父・義仁さん「(拓海は)自分のことを出していくっていうのはあまり得意ではない性格だと思うんですけど、最近いろんなことに挑戦して自信を持ってできるようになってきた」
城拓海くん「ちょっと緊張します」
号砲「パーン」
スタートから、順調なペースで走る拓海くん。
母・憲子さん「大丈夫?」
城拓海くん「うん」
母・憲子さん「頑張れ!」
疲れが出始めた中盤、少しずつペースが落ちていきます。
母・憲子さん「大丈夫、大丈夫たっくん頑張れ。たっくん行けるぞ!あと戻るだけだよ」
懸命に走り続けて、迎えた最後の直線。
母・憲子さん「ちょっと待って!速い!」
最後の力をふり絞ってラストスパート。
記録は目標タイムを切る12分47秒。1週間前の練習で出した自己ベストを2分近く更新しました。
Qどうでした?
母・憲子さん「拓海が速くてきつかったです私が。疲れたけど多分すごい達成感でいっぱいだと思います」
城拓海くん「きつかった。最後のところが一番きつかった。とりあえず全部走れてうれしい」
挑戦を終えたばかりの拓海くんですが、すでに次の目標がありました。
城拓海くん「陸上の大会に出てみたい。100メートル」
パラリンピック出場という夢に向かってマラソンへの挑戦は大きな自信になったようです。