女性の健康課題やジェンダー問題を取り上げるシリーズ企画、今回は生理用品を無料で提供するサービスです。
急な生理や経済的な理由など困った時の助けとなる取り組みが全国で広がっています。
広告費を財源に生理用ナプキンを無料提供「OiTr(オイテル)」
福岡市天神の商業施設「福岡PARCO」。
女性用トイレの個室には、生理用ナプキンを無料で提供する装置「OiTr(オイテル)」が設置されています。
下濱美有記者
「アプリを起動して機械にかざすと、ナプキンが出てきました。簡単ですし、出てくる時の音も静かなので安心して利用できます」
パルコ福岡店 営業課 西奏美さん
「女性のお客様がすごく多い施設なので、ただお買い物をしたりとかご飯を食べたりとかだけではなくて、ふらっと立ち寄って安心出来る場所にしたいと考えています」
商業施設や大学、公共施設など現在、福岡県内14か所に導入されている「オイテル」。
液晶モニターに流れる広告費を主な収入源に、無料で生理用ナプキンを提供する仕組みです。
設置から2年、パルコでは月に2000枚程の利用があるそうです。
きっかけはネットの声 「オイテル」開発の男性
この「オイテル」を3年前に開発したのは東京のベンチャー企業、なんと男性です。
オイテル 飯崎俊彦 取締役
「ネットの声に出会ったのがきっかけで、トイレットペーパーがトイレに常備されているのになぜ生理用品は常備されていないんですかということだった。であれば、トイレットペーパーと同様に、個室トイレに生理用品を置く社会を実現したいなと」
深刻な「生理の貧困」 「オイテル」が解決のきっかけになれば
出先で急に生理になったり、生理用品を持参するのを忘れたりと生理用品に関する困りごとは様々です。
中でも深刻なのは経済的な理由で生理用品を購入できないいわゆる「生理の貧困」の問題です。
厚生労働省の調査では、生理用品の購入、入手に苦労したことが「ある」と回答した人は8.1%で、「自分の収入が少ないから」という経済的な理由が多く挙げられています。
また、その際の対処法について、「生理用品を交換する頻度や回数を減らす」「トイレットペーパーやティッシュペーパーで代用する」という経験をした人が少なくありませんでした。
現在、全国約3100か所に設置されている「オイテル」のサービスも「生理の貧困」の解決に繋がるきっかけになればと話します。
オイテル 飯崎俊彦 取締役
「生理の貧困ということはもっと教育、社会的な意識改革を含む包括的に何かを考えていかなければならない問題だと思っています。オイテルを設置するビジネスがそういうきっかけになってほしいなと思います」
社会貢献とビジネスの両立を目指すこのサービス。
毎月やってくる生理についての女性たちの我慢や不安を軽減する取り組みが広がっています。
「生理の貧困」対策 生理用品を無料配布する自治体も
生理用品を経済的な理由で用意できない人に向け、多くの自治体が無料で配る取り組みを行っています。
内閣府によると去年7月時点で福岡県内、佐賀県内では、以下の自治体で実施されています。
福岡県:福岡市・久留米市・八女市・大川市・行橋市・小郡市・筑紫野市・古賀市・糸島市・芦屋町・遠賀町・大木町・添田町・苅田町・築上町
佐賀県:佐賀市・唐津市・鳥栖市・武雄市・鹿島市・小城市・嬉野市・神埼市・吉野ヶ里町・基山町・上峰町