暮れに開幕する第104回全国高校ラグビー大会。
桐蔭学園(神奈川)と東福岡による息詰まるディフェンス合戦となった前回大会のロースコアの決勝戦は、まだ記憶に新しいところだ。
シードは13校
今回も参加は51校、愛媛と長崎の代表が23日の決勝戦で決まり、全代表校が出揃う。
組み合わせ抽選会が12月7日に予定されているが、この間にシードされる13校が発表される。
例年のパターンだと、このうちAシードが3校、Bシードが10校で、いずれも2回戦からの登場となる。
AシードとBシードの差は3回戦に表れる。
Aシードの2回戦と3回戦の相手は1回戦からの勝ち上がりチーム。
つまりノーシードであるのに対し、Bシードは、3回戦で同じBシードと対戦する可能性があることが大きな違いとなる。
春選抜王者は大阪桐蔭
このシード校選出にあたり参考とされるのが、前回大会後の新チームでの地方大会や春の選抜大会、国体などの結果や試合内容だ。
春の選抜大会優勝は大阪桐蔭、準優勝は石見智翠館(島根)、國學院栃木と桐蔭学園(神奈川)がベスト4。
石見智翠館は、単独出場した国体でもベスト4に入り、同じく国体に単独出場した御所実(奈良)が少年男子を制している。
東福岡は春から苦戦続き
そこで気になるのが、前々回の花園王者で前回準優勝と、ここ2大会連続で決勝へ進出している東福岡だ。
東福岡は、選抜大会でまさかの初戦敗退を喫し、6月の九州大会では決勝で大分東明に屈している。
その予選の県大会でも筑紫に苦戦を強いられるなど、ここ数年では珍しく、らしくない戦いが続いていたのは確かだ。
東福岡であり続けたヒガシ
ところが、そこは首脳陣の腕の見せ所。
戦いながら、また夏合宿などで試行錯誤した挙句、全員ではないもののメンバーを巧みに組み換え、選手たちも初心に帰って基本から見直したことでこれに応えた。
「東福岡であり続けるためには?」を追求しつつ鍛錬を積んだ結果だ。
迎えた花園予選の県大会では、他を圧倒する戦いぶりを見せることができた。
特に準決勝の小倉戦、決勝の筑紫戦では、アタックはもちろん、ディフェンス、特に接点での強さを発揮して完勝。
本来の東福岡の姿を思い出したかのように見事に立て直しに成功した。
つまり“今”が今季ベストの状態と言えるのだ。
らしさが完全に戻った東福岡、その評価は?
チームは、年によって、またメンバー構成により、シーズンで辿る道は当然違うものとなる。
春から安定した強さが継続することもあれば、伸び悩むこともある。
緩やかな右肩上がりで成長したり、夏で急激に伸びたりする場合もあるが、今年の東福岡は夏以降でV字回復。
35度目の花園出場を決めた県大会であれだけの戦いぶりを見せ、完全復活したように思えるが、最終的にどういう評価を受けるのか、今回はそこが大いに注目される。
シード校を選ぶ側は頭を悩ませるに違いない。