福岡県内の中学1年生が、国家資格である「毒物劇物取扱者」を取得しました。
将来の夢は、未知の病や治療が困難な病を治す新薬の開発。
「ゲームより実験が好き」と話す中学生の自室には100種類以上の器具が並び、日々実験にいそしんでいます。
まだあどけなさの残る12歳
福岡県春日市立春日北中学校1年の今村建太さん(12)。まだあどけなさの残る表情で友人と楽しそうに話しながら学校から帰る姿は、一見普通の中学生。しかし、もう1つの顔があります。
制服の上に白衣 手袋とゴーグル
今村建太さん(12)「ただいまー」
帰宅するやいなや2階の自室に上がりました。
宿題を終えると、白衣を羽織り、何やら準備を始めます。
実験準備「ガチャガチャ、カランカラン」手袋にゴーグルを装着。
いったい、何を始めるのでしょうか。
今村建太さん(12)「ブワーッと泡が噴き出る実験をします。色々なところに売ってるようなもので、ホームセンターに行けばそろうようなものでやりたいと思います」
化学が大好きな健太さん。
自分の部屋で実験をするのが日課となっています。
洗剤などを薄めた液体を混ぜ合わせると・・・一気に泡が噴き出しました。
今村建太さん(12)「この炭酸水素ナトリウムが、クエン酸によって分解されて、クエン酸三ナトリウムと、水と二酸化炭素に分かれて、二酸化炭素が洗剤と反応して、洗剤の泡の中に二酸化炭素が取り込まれて、噴き出るような仕組みになっています」
「目の前で起こる反応が面白い」
ゲームとかしないの?
今村建太さん(12)「あんまり自分はしないですね。つまらない。ゲームやってなんのメリットがあるんって考えなので。実験した方が成果が得られる。反応が目の前で見られたり、反応が自分の目の前で起きてることがおもしろい」
RKB 高田佳明記者「クローゼットを開けてみると・・・薬品やビーカー、フラスコなど100種類以上の実験器具が並んでいます」
今村建太さん(12)「これは小学校5年生の時の誕生日に買ってもらったマグネチックスターラー。撹拌がしっかりできるものです。すずめの涙程度のお年玉と、誕生日とかで高い器具買ってもらいます。月々のお小遣いでどうにかこうにかやりくりしてます」
祖父の病気がきっかけで化学に興味
化学に興味を持ち始めたのは小学4年生のころ。
糖尿病を患い、入院していた祖父の薬について調べたことがきっかけでした。
今村建太さん(12)「小4くらいの時です。祖父の病気がきっかけで、薬の成分 とかを調べていたので、そこから化学の構造式とかの方に、成分が気になったので化学の成分を興味をもって調べていったら、そっちの方にいったって感じですね」
化学の実験は、薬品の危険性を理解していないと大きな事故につながります。
今村建太さん(12)「薬品を扱うときの基本ルールとして、作ってはだめな物質は作りません。作っては違法なので。安全な範囲で自分の研究したい範囲で法律の範囲内で実験をしています」
初挑戦で「毒物劇物取扱者試験」に合格
両親を安心させるため、建太さんはこの夏、国家資格「毒物劇物取扱者試験」に初めて挑戦。
合格率およそ5割の試験に見事、一発で合格しました。
この資格は危険な薬品などを業務で扱うことがある、化学工場やホームセンターの責任者になる人が取得することが多く、中学生では異例だといいます。
「毎日BGMのように・・・」
建太さんの母 今村恵美子さん「気づいたら『化学の本買って』とか実験し始めて部屋にずっとこもってやってました。『これがこうしたらこうして、反応がどうこう、あーわからんちゃんねー』って、毎日そういうのをBGMのように聞かされています。普通だったら『ゲームばっかりせんで』って話をよく子供とするんでしょうけど、『実験ばっかりやって』って言うのも逆に言いづらい、学んでるから。人のためになるものを学んでいきたいということでそれを信じて応援していくしかないかな」
そんな建太さん、苦手科目もあるようで・・・
今村建太さん(12)「悪い、学校のテストの点数は悪いです、理科以外はすごいやばいので。言えない点数です」
建太さんの母 今村恵美子さん「化学好きなのは応援するけど、日頃の学校の勉強も頑張ってほしいなっていうのが親心で・・・」
夢は新薬の開発
祖父の病気をきっかけに化学のとりこになった建太さん。
将来の夢を聞いてみると・・・
今村建太さん(12)「いま治せない病気を治せるような薬を作りたいですね。有機化学をもっと専攻して、副作用が少なく実際に作用するような物質を作りたいなと思っています。感染症だったらこの間のコロナウイルスみたいに新しくできるような病気もあるので、それに特化した薬を作れるような研究者になりたいかなと思っています」
未知なる病気を治す薬を開発するため、きょうも建太さんの研究は続きます。