マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」への移行に伴い12月2日、健康保険証の新たな発行が停止されました。
マイナ保険証の利用が本格化する中、とまどいを感じる患者や家族もいるほか、医療関係者が「保険証を残して」と署名活動を行いました。
週明けのクリニック
福岡市西区のクリニック。
週明けということもあって、朝から多くの患者が訪れていました。
Q.健康保険証とマイナ保険証どちらで使われましたか?
「マイナ保険証。最初の頃はなんか横向きとか縦向きとかあるじゃないですか。それで分からなくて、薬局の人に教えてもらったりして、これをここ押しますよ、こっち押しますよと」
「いま申告中でまだ来てないんですよ。ただこれから先何が起こるか分かりませんもんね。まだ何も決まってきちっとしてないから、だからしばらくは保険証使おうかな、とも思っています」
「マイナンバーカードの機械を設置する仕事をしているので、抵抗は全くないですね。ただマイナ保険証が使えない病院があるので、マイナ保険証と健康保険証2つ持っていかないといけない煩わしさがあるんですね」
Q.まだリーダーを置かれていないところもあるんですか?
「まだありますね」
約半数の人がマイナ保険証を利用
こちらのクリニックでは、これまで「マイナ保険証」を利用する患者は1割ほどでしたが、2日は、およそ半数の人が利用していました。
とまどい感じる人も
ただ、新たなシステムにとまどいを感じている患者も少なくありません。
93歳母の付き添いに訪れた人
「マイナンバーカード作るのに本人を連れていかなきゃいけないんだったら、その日を選んで連れて行って手続きして作ってやらないといけないなと思いながらズルズルと。顔承認とかになると台が高いから立ち上がるとかね、暗証番号を私が覚えておかないといけないってことですね。使う本人じゃなくて」
政府は移行措置として、現行の健康保険証も有効期限まで最長1年間使えるとしています。
また、マイナ保険証を持っていない人には、保険証として利用できる「資格確認書」が自動的に送られてきます。
クリニックは「支障がでないといいが・・・」
こちらのクリニックでは、外で待機している患者の「マイナ保険証」を読み取るため、スマートフォンを使った認証システムも試験的に導入しています。
やまもとホームクリニック 山本希治 院長
「マイナンバーをうまくかざすような形で認証ができるという方法が一応試験的にできていますので、今後はそういうものをうまく取り入れながらさせていただこうかなと思っています。どうしても今月から本格的に始まるので、いろんなところで支障が出てくると思うんですよね、マイナンバーがない方には資格確認書みたいなのがあるので、あれでまたやっていくときに支障が出ないといいかなって思ってますけど」
「なくなると医療現場は大混乱する」
新しいシステムへの対応が進む一方で、医療関係者からは、「健康保険証の廃止は時期尚早だ」と反対する声も根強くあります。「一本化にしないでくださいっていう署名を集めています」
多くの医師や歯科医師が加盟する保険医協会と歯科保険医協会は2日、博多駅前で抗議と署名活動を行いました。
福岡県歯科保険医協会 七里正昭さん
「私たちの訴えは保険証を残しての一点です。マイナ保険証には反対していませんので、マイナ保険証と今の健康保険証をこれからも一緒に使えるようにしてくださいという風に訴えて来ております。トラブルがあっても、今の健康保険証で乗り切っているんですけれども、これがなくなると医療現場大混乱しますので」
マイナ保険証の利用が本格化する中、混乱やトラブルをいかに防いでいくのか。
政府には医療現場や患者に寄り添った丁寧な対応が求められています。