障害者スポーツの一つで、壁をどれだけ高く登れるかを競う「パラクライミング」。
この競技を始めてわずか1年足らずで、日本代表となった女子高校生が福岡県田川市にいます。
目指すは、4年後のロスパラリンピック出場です。
先天性の脳性まひ 右半身に軽度のまひ
朝強い?「弱いです」
起きるのきつくない?「きついです」
福岡県田川市にある県立東鷹高校2年の二橋 真音衣(まとい)さん。
真音衣さんは先天性の脳性まひのため、右半身に軽度のまひがあります。
生徒会の活動などに熱心に取り組む真音衣さんが、放課後、向かった先はー
壁を登るボルダリングの施設です。
パラクライミング日本代表 二橋 真音衣さん
「右足があまり使えないから普段の練習から右足を意識して登るようにしています」
15メートルの壁 登った高さ競う
真音衣さんは、高校1年の時に家族からの勧めで、障害者のクライミング競技である「パラクライミング」を始めました。
パラクライミングは障害の程度によってクラス分けされ、およそ15メートルの壁を登った高さを競います。
今年3月、日本代表に
真音衣さんは競技を始めてからわずか1年足らずで日本選手権で優勝、今年3月には日本代表に選ばれました。
パラクライミング日本代表 二橋 真音衣さん
「最初は全然力がなくて登れなかったんですけど、どんどん練習をしていくうちに登れるようになってきて楽しいなと思ってやってます。『もしかしたら日本代表になれるかもよ』って言われてやれるところまではやってみようと思いました」
週に3回、福岡県内の施設で練習
県内には、競技用の15メートルの高さの壁がある施設が少なく、真音衣さんは週3回、嘉麻市のボルダリング施設に通っています。
競技を始めた頃は指導者もおらず、施設の利用者にアドバイスをもらいながら練習していました。
現在は、大会で知り合った大阪のトレーナーからSNSやビデオ通話で指導を受けています。
パラクライミング日本代表 二橋 真音衣さん
「動画とかをこんな感じで送ってくれたりとか。手の持ち方みたいな、次右で、こっちで左でこっち出してみたいなのを番号で書いて送って・・・」どのような体の使い方をすればうまく登れるのか、休憩中も他の利用者の動きを観察します。
「双子の姉に負けたくない」 互いの存在が原動力
真音衣さんには、トレーナーのほかにも大きな存在がいます。
真音衣さんと一緒にクライミングの練習をする双子の姉・天花(てんか)さんです。
真音衣さんの姉 二橋 天花さん
「私が普段ちゃんとしてっていわれてることをし忘れるタイプなのでそれを怒られます」
二橋 真音衣さん「忘れっぽい」
アーチェリーをしていた小学生の頃から同じ競技に打ち込んでいて、今でもお互いの存在が原動力になっているといいます。
パラクライミング日本代表 二橋 真音衣さん
「ボルダリングではライバルみたいな。自分よりもちょっと動きが上手いんで教えてもらったりははしています。やるからには負けたくない」
二橋 天花さん
「一つの目標に向かって私はそういうのすぐ諦めちゃったりとかマイナスのことを思いがちなんですけど、そういうことを言わずに練習とかもずっと励んで努力しているところが尊敬できるところです」
母「諦めないで努力 結果につながった」
母親の加奈子さんも真音衣さんの絶え間ない努力が結果に結びついていると話します。
母・二橋 加奈子さん
「障害があるからなのかずっと諦めないで努力するというのはずっと小さい頃からしているので、そこがパラクライミングにもつながっているんだと思います。アーチェリーの時もお姉ちゃんよりも練習してるし、勉強もおねえちゃんよりしているんですけど、やっぱり障害があることで、実際結果としては結びついていなかったんですけど、パラクライミングを始めて、日本代表になってやっと結果に結びついたので本人としては障害があってもよかったみたいなことを言ってくれたので・・・」
パラで「1位を取りたい」
パラクライミングは、4年後に開催されるロスパラリンピックの追加競技に選ばれました。
夢の舞台を目指して、真音衣さんの挑戦は続きます。
パラクライミング日本代表 二橋 真音衣さん
「まずは日本代表で1位になって、ワールドカップでもメダルを取れるようになってから上を目指していきたいと思います。パラリンピックに出られるなら出て1位を取りたいと思っています」