この冬一番の寒気が日本列島に襲来しました。各地で大雪、凍結などの被害が出ています。
寒気の強さを伝えるニュースや気象庁の発表では、上空◯◯メートルの気温、という表現を耳にします。
でも、なぜ、寒気の強さを上空の気温で表すのでしょうか。
今回の寒気は、「上空約1500メートルに氷点下12度以下のこの冬一番強い寒気」。なぜ、上空の気温を使うのでしょうか。
確かに、地表の観測点の気温を使って寒気の強さを予想できそうですが、実はそう簡単にはいかないのです。
地表だと同じ地域でも、海の近くか内陸か、標高がどれぐらいか、風の通り道かどうかなどで、かなり気温が異なります。この違いに振り回されないために、上空の気温で寒気の強さを決めているのです。
今回の寒気は、「上空約1500メートルの気温」で寒気の強さを表した場合、「氷点下12度以下」という今季一番の強さだったわけです。
ちなみに、上空約1500メートルの場合、氷点下6℃以下が雪の目安、氷点下12℃以下が大雪の目安となっています。
また、高度1500メートルは、比較的地表に近いため、地表の気温と概ね対応していています。高度1500メートル付近の気温が低ければ、地表の気温も低くなると言え、8~15℃足したものが地表付近の気温になります。
12日(日)は、また大雪のおそれ
12日(日)は、西日本を中心に、今回以上に大雪が降るおそれがあります。成人式を行う地域もあり、雪の降り方や凍結が心配されます。
でも、上空約1500メートルの予想気温は氷点下8℃ほどしかないんです。なぜ大雪の予想が出ているのでしょう。
実は、もう一つある寒気の目安
気象庁はもう一つ、「上空約5500メートルの気温」も寒気の目安として発表しています。
1500メートルよりさらに上のこの高度に強い寒気が入ると積乱雲が発達しやすく、さらに大雪になりやすいのです。
上空約5500メートルの場合は、氷点下30℃以下が雪の目安、氷点下36℃以下が大雪の目安となっています。
上空の気温情報を使い分ける
気象庁は「上空約1500メートルの気温」、「上空約5500メートルの気温」と2つの情報を発表していますが、両方とも前述したとおり大雪の目安となる気温が決まっています。
さらに、この2つを使い分けるなら、「上空約1500メートルの気温」が低ければ、地表の気温が下がりやすい。
「上空約5500メートルの気温」が低いなら雪雲となる積乱雲が発達し、さらに大雪になりやすいのです。
もし、両方とも低ければ、寒くて大雪になり、凍結が長く続くという感じでしょうか。考えただけで、身が震える寒さですね。
RKB 気象予報士 龍山康朗