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同じメーカーがつくったごみ処理施設 建設費に違い 約100億円の差はなぜ? 「過疎債」で国民が肩代わり

RKB毎日放送 2025年1月10日 16時59分

福岡県田川地区で、8市町村が共同で使用するごみ処理施設が建設されています。

同じメーカーが作った同規模の施設に比べて建設費が100億円前後高いことが分かりました。

発注など建設にかかる事務を委託された大任町は建設費に関する詳細な資料を明らかにしていません。

現場で何が起きているのでしょうか。

町民に現金5万円と米5キロ配布

12月議会の終了後もちつきが恒例となっている福岡県大任町。

この日、全ての町民に1人あたり現金5万円と米5キロなどを配ることが決まりました。

予算は2億8000万円。

理由の一つが「ごみ処理施設の受け入れ」です。

大任町 永原譲二 町長(71)
「町民が本当に迷惑施設、よそのごみを全部受け入れてくれたことに対して、非常に迷惑をかけたという状況の中で今回そういう政策を打った」

建設費は220億円 根拠は? 「存在しない」繰り返す町長

田川地区8市町村共同のごみ処理施設。建設は大任町に委託されています。

建設費は220億円。

田川地区の議員有志らは工事費用を算出する積算書などを公開するよう求めてきました。

田川市議会 佐藤俊一 議員
「何かあるから情報を出さないと。やましいことがあるから出さないんじゃないかという疑いは多くの住民が持っていると思います」

これに対し、大任町の永原町長は「全国探してもどこにもない」と主張します。

その理由は設計と施工を一括して業者にゆだねる「性能発注方式」だからだとしています。

大任町 永原譲二 町長(71)
「性能担保の発注方式で、行政がそんな積算なんてできません。だからないんです。常に言っていますよね」

別の自治体に建設された同メーカーの施設 工事費の内訳あった

福岡県久留米市で2016年から稼働するごみ処理施設。

性能発注方式で建設されました。

大任町と同じメーカー「タクマ」が建設したもので1日に焼却できるごみの量は163トン。172トンの大任町と規模が近く焼却方法は同じです。

久留米市と大任町に対し建設費の詳細などについて同じ形で情報公開請求しました。

開示されたのは大任町が黒塗りの文書などあわせて8枚。

久留米市は680枚。詳細な価格が記載されていました。

久留米市 環境部 山田博紀 計画主幹
「事業者の方からいただいた見積もりをもとに内容として精査したものですのでいわば実際の工事費の内訳的なところになる」

同じメーカーの3施設 価格を比較した

タクマが建設した3つのごみ処理施設について、建設費を比較します。

久留米市がおよそ144億円。可燃ごみの焼却と不燃ごみの破砕を行う工場棟に限ると94億円。

愛媛県今治市は128億円。

そして、大任町は220億円。

1日に焼却できるごみの量に大差はありません。

資材費高騰などの影響があったとしても同じメーカーの同じ焼却方式の施設でなぜここまで建設費が違うのでしょうか?

タクマ「回答は差し控えます」

メーカーのタクマに建設費が違う理由や大任町に詳細がわかる資料を提供したのかなどを質問しました。

タクマからの回答
「いずれのご質問に対しても回答は差し控えます」

町長「業者は委託で儲ける」

久留米市と今治市は建設業者に運営も委託していて、大任町の永原町長はいわゆる「セット販売」で建設費が安くなっているとの見方を示しました。

大任町 永原譲二 町長(71)
「管理委託したら建設費よりもコストが高くなります。委託の方が。委託で儲けるんですよ業者は。だからこっちを低く落札するために低く抑えるんです、こっちを。で、こっちで上げるんです。建設は安くして、落札をして、あと契約。20年とか25年契約で元取ります」

久留米市と今治市のごみ処理施設は20年間タクマのグループ会社に運営を委託しています。

建設費と運営費の総額はいずれも220億円前後。一方、大任町は建設費だけで220億円。

60人あまりの職員を直接雇用し、今後、人件費も含めた運営費がかかります。

記者
Q 年間運営でいくら?とかいうのは出ているんですか
大任町 永原譲二 町長(71)
「いや今、今から試算してます」

施設の稼働がおよそ3月後に迫る中、運営費がいくらかかるのか、回答は得られませんでした。

「過疎債」というからくり

建設費220億円のうち多く使われるのが「過疎債」です。

過疎地域の財源として特別に認められた地方債で、市町村の実質の負担は3割のみ。
残りは国が肩代わりします。

永原町長は自らの政治力で過疎債を認められたと胸を張ります。

大任町 永原譲二 町長(71)
「国も簡単には過疎債も貸してくれませんよ。それを何十回となく国に交渉に行き、色んなことやってるんですよ」

地元負担は45億円 175億円は国民が負担

過疎債に加え、国からの交付金も投入されるため建設費220億円のうち田川地区8市町村が負担するのは45億円。

残り175億円は国民全体の負担です。

ごみ処理施設の談合など税金の使い道を長年チェックしてきた市民団体の代表は。

市民オンブズマン福岡 児嶋研二 代表幹事
「過疎債を使ってですね、地元負担を減らしましたという言い方をしきりにするわけですけれども、これはある意味、直接地元はお金を出さないだけであって、私たち国民全体から支払われているわけですから、日本国民全体の問題だと思います」

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