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「裏切ったら殺す」 女性従業員らに性交を繰り返したペットショップ経営の男(66) きっかけは店に届いた1通の手紙か

RKB毎日放送 2025年1月15日 18時21分

ペットショップを経営する66歳の男が、4人の女性従業員を脅迫し抵抗できないようにして性交したなどとされる事件で、裁判員裁判が始まった。

被害者4人のうち2人は妊娠・中絶していたことも明らかになったが、初公判で男は「脅していない」と起訴内容を否認し、弁護側も「女性たちの自由意志」だと主張した。

一方、初公判で検察側が明らかにしたのは、店に届いた1通の手紙の存在だ。これをきかっけに男は、女性従業員らに「生涯尽くすこと」を誓わせ、性交を繰り返すようになった。

何が起きていたのか。

経営していたペットショップの従業員らを脅し性的暴行か

準強制性交等などの罪に問われているのは、福岡県糸島市の無職・本多道雄被告(66)。

自身が福岡県や佐賀県で経営していたペットショップの従業員らに対する7件の罪で起訴され、このうち、強制わいせつ事件2件、暴力行為等処罰法違反事件1件については、去年10月に有罪判決が言い渡された。

14日に福岡地裁で始まった裁判員裁判は、残りの4件。強制性交等傷害事件1件、準強制わいせつ事件1件、準強制性交等事件2件で、被害者は当時20代~30代の女性従業員4人にのぼる。2017年から4年間にわたり、自身が暴力団関係者であることを誤信させ首に日本刀を当て「裏切ったら殺す」などと脅迫し、抵抗できない状態にして性交したなどとされている。

本多被告は自宅で自身の身の回りの世話をさせる「糸島勤務」と呼ばれる業務を女性従業員らに課しており、事件のほとんどが「糸島勤務」中に起こった。

「抗拒不能になるようなことはしていません」全事件を否認

14日、坊主頭に黒っぽい色のスーツ姿で法廷に入った本多被告。検察官が読み上げた起訴内容について「抗拒不能になるようなことはしていません」などと答え、全ての事件を否認した。

「抗拒不能」とは主に性犯罪で使われる法律用語で、物理的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態を意味する。

従業員に書かせた誓約書「生涯尽くします」

検察側の冒頭陳述によると、本多被告は2001年、共同経営者と共にペットショップを設立。2011年に、共同経営者が退いたことで、会社内での本多被告の影響力が強くなっていった。

そして翌年の2012年、検察が【519事件】と呼ぶ出来事が起こる。ペットショップ店舗に本多被告を中傷非難する1通の手紙が届いたのだ。これに激怒した本多被告が、手紙を送りつけた犯人捜しを始め、従業員らに生涯尽くすことを誓わせる誓約書を作成させた。

本多被告が今回の事件で、被害者である女性従業員らと繰り返し性交するようになったのは、この「519事件」の約半年後からだ。

女性従業員らと繰り返し性交 自殺を図ろうとした従業員も

本多被告は、性交を繰り返しながら女性従業員らにどのようなふるまいを見せていたのだろうか。

2016年1月、本多被告は女性従業員の1人から強姦未遂の容疑で告訴されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。

検察によると、本多被告は、告訴した従業員を捜し出し拉致して殺害するよう店の幹部らに指示。しかし幹部らがその指示に従わなかったため、指詰めを迫った。その場には、今回の事件の被害者2人も同席していた。

同じ頃、被害者2人は本多被告から「自分の命を狙う殺し屋が来たので日本刀で返り討ちにした。その際の血しぶきが台所等に付いたので掃除しておけ」などと告げられたという。

2017年3月には、”糸島勤務”の廃止を求めた女性従業員らの首に日本刀の刃を当てて服従を誓わせたりした。

検察は、抵抗できず性交した事件の被害者の中には、店舗のバックヤードで自殺を図ろうとし精神科に入院した人もいると主張した。

また、当時20代前半だった女性従業員が、本多被告に抵抗した際、全治10日間のけがを負ったとして、女性が友人に送ったLINEの文面を証拠提出した。

女性従業員が友人に送ったLINE「本当に殺されるかと思った」「糸島の人」「あざだらけなんやけど。首絞められて死ぬと思った」

弁護側「肉体関係を含む親密な関係 抗拒不能ではなかった」

検察側の主張を聞く限り、本多被告が被害女性たちにとった言動は、経営者と従業員の間でかわされるような類のものではない。

これに対し、弁護側は、「女性従業員らは本多被告に対し抗拒不能の状態ではなかった。もしくは抗拒不能の状態であったとしても本多被告がそれを認識していなかった」と主張した。

弁護側の冒頭陳述によると、本多被告と女性従業員らは、それぞれふたりで旅行に行ったり、食事をしたりする間柄だった。その証拠として複数の写真を提出し裁判員に見せた。

本多被告と被害者らが一緒に食事をする様子や、旅先で撮影されたもの、いずれも本多被告のスマートフォンに保存されていたもので、中には、女性従業員と本多被告がキスをしたり、一緒に入浴する様子を写したものもあった。

また、女性従業員らが受け取っていた給与明細も、証拠として提出した。

弁護側は、「肉体関係を含む親密な関係」「(女性たちは)高額な給料をもらっており、自由な意思で親密な関係を受け入れていた」などと主張した。

注目される女性従業員らの証言

女性たちはどのような気持ちで、経営者である本多被告と写真に収まっていたのだろうか。

そして、高額な給与を受け取っていたことと、抗拒不能の状態ではなかったことは、いったい何の関係があるというのだろうか。

裁判は今後、女性従業員らへの証人尋問や本多被告への質問などが行われ、2月25日に判決が言い渡される。

RKB毎日放送 記者 奥田千里

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