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早い時期から”子供を守る”性教育を 「性犯罪の被害者・加害者・傍観者にならないために」5歳~8歳向けのドリルも登場

RKB毎日放送 2025年1月17日 19時38分

福岡県警が発表した2024年1年間に検挙した件数(暫定値)は不同意性交等容疑が122件、不同意わいせつ容疑が235件で、前の年に比べて不同意性交等容疑が54%増、不同意わいせつ容疑が29%増とそれぞれ大幅に増えています。

こうした性犯罪の被害者や加害者にならないためにも早い時期から性教育を行う重要性が指摘されています。

どのように子供たちに伝えればよいのでしょうか?

ナプキンを触る体験も・・・小学生に産婦人科医が性教育

「生理のときに何が起こるか分かる人?血が出ますよね。早い子だったら小学4年生から始まる子もいるし、中学1年生になるとほとんど始まっている感じが多いのかなと思います」

12月、福岡県柳川市で開かれた小学生と保護者を対象とした性教育のワークショップ。

講師を務めるのは、八女総合病院・産婦人科の宮川三代子医師です。

この日のテーマは「高学年になる前に知っておきたいこと」

自分達がどうやって産まれてきたのかや生理や精通について、分かりやすく説明します。

普段は触れる機会のない生理用ナプキンやタンポンを実際に触る体験も。

子供たちはとまどいながらも真剣に話を聞いていました。

水を含んだナプキンを触る男の子に・・・

八女総合病院・産婦人科 宮川三代子 医師「持ってみてどうですか?」「重いよね。こういうのをお母さんとか生理がきた女の子たちはおまたにはめて我慢していたりするるの。トイレに行けない時は」

参加した小学4年の男子「女の子の生理のつらさが分かった感じ」

男子児童の保護者「なかなか親子で性のことを聞く機会ってないと思うし、男の子にも知識があって、自然とそういうのを受け入れられる子になってくれたらいいなと思って」

参加した小学4年の女子「生理が来ても驚かずに対応できるかなと思う」

性犯罪の被害者・加害者・傍観者にならないために

早い時期からの性教育の必要性について宮川医師は・・・。

八女総合病院 宮川三代子 医師「自分の子供がもしかしたら性犯罪の被害者になるかもしれないし、加害者になるかもしれないし、最近よく言うのは傍観者にならないように性教育は必要なんですということで。SNSやインターネットでぼっと間違った情報も入ってくるので、そっちが正しいと思うとすごく危ないなと思っていて、自分の写真を写して彼氏に送ったりとか。男の子は性被害にあったことをそのとき気付けないことも多くて、男の子に対しても自分の大事なところは守る隠すとかは教えていかなくちゃいけない」

もやっと話さず、科学的、肯定的に

ではどう話せばいいのでしょうか?

八女総合病院 宮川三代子 医師「どうやって赤ちゃんできるの?とか、なんで生理のとき血が出るの?とか聞いてくれるから、そのときが一番いいタイミングで、『いい質問だね、真っ正面から肯定的にいいこと聞いてくれたね』と、聞いてもいいんだよという雰囲気をつくるのが一番。もやっと話すともやっとしか伝わらないから入っていかない。セックスはセックス、射精は射精、少し恥ずかしいと思っちゃうけれど大事なことを言うねって、科学的にっていうことと、肯定的に言うこと/性については2つが大事だと思います」

5歳~8歳対象 性教育の”ドリル”も

一方、本を使って伝えることもできます。

親しみやすいキャラクターが描かれた本。こちらは性教育に特化したドリルです。

対象は、5歳から8歳。性について問題形式で書かれていて、子供と話し合いながら読み進められるように工夫されています。

~ドリルより~「黄色の部分をプライベートゾーンというよ」「プライベートゾーンはとっても大切なところ。大人になるまでさわっていいのはキミだけだよ。おうちの人もひつような時しかさわれないよ」

(問題)突然きみがカラダをさわられたらどうしたらいいかな?

著者は元キャバクラ経営の女性「望まない妊娠を目の当たりにして・・・」

ドリルを手がけたのは、福岡市に住む伊東絵理加さん。

キャバクラを経営していた頃に店で働く女性たちが悲しむ姿を見てきました。

伊東絵理加さん「10代の時から妊娠出産が多いんですね、みんな知識がなくて。特に望まない妊娠の多さを目の当たりにしているので、10代後半とかになっていろんな知識を詰め込むのも遅いなって」

ユネスコが発表している国際的な性教育の指針「国際セクシュアリティガイダンス」に従って対象を5歳からに設定しました。

子供を守る性教育 ”こころの教育”も重視

ドリルには体について知るページのほかに「嫌」と感じたときの伝え方や相手を思いやること、また、身体的、精神的な暴力に関するページも。

「こころ」の教育も重視したといいます。

伊東絵理加さん「大人になったときに絶対に必要なものをぎゅっとまとめました。大きな声を出すとか、嫌なものは嫌と言う、道徳みたいなんですけれど、これも性教育のひとつ。自分を大切にしているから相手も大切にできる。5歳から8歳はそこがとても大事かなと思います」

伊東さんは、今後、9歳から18歳までを対象に「性病」や「避妊」なども盛り込んだドリルも作りたいと考えています。

性被害にあわない、また加害者にならないためにも、子供達が正しい性教育を早い時期から受けることができる環境を大人がつくっていかなければいけません。

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