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「どうなるか予測がつかない」関税引き上げに地元企業も備え 在庫先出しで輸出も 暮らしへの影響は トランプ大統領就任演説へ

RKB毎日放送 2025年1月20日 19時1分

日本時間の21日未明、アメリカではトランプ氏の大統領就任式が行われます。

2期目のトランプ政権は九州の経済にどのような影響を与えるのでしょうか?

地場企業の中には既に対策を取り始めているところもあります。

「アメリカ・ファースト」

アメリカ トランプ次期大統領
「あすから私は歴史的なスピードと力強さで行動し、我が国が直面するあらゆる危機を解決します」

トランプ氏が圧勝したアメリカ大統領選挙から2か月半。

就任式を前にワシントンでは凱旋集会が開かれ、祝賀ムードに包まれています。

選挙戦を通してトランプ氏から繰り返し出てきた言葉。

それは「アメリカ・ファースト」です。

アメリカ第一主義を掲げるトランプ氏は就任後、ただちに100本程度の大統領令に署名し、不法移民の強制送還などに動くとみられています。

九州経済にとって最大の懸念は”関税の引き上げ”

中でも九州経済に最も影響しそうなのが関税の引き上げです。

九州経済調査会 河村奏瑛 研究員
「まずはやはり関税の部分が九州の企業、あるいは経済にとって大きな影響をもたらすのではないかと考えています」

トランプ氏は大統領選で、全ての貿易相手国に対し、一律に10%から20%の関税をかけることを公約に掲げていました。

日本への関税は現在、平均2.8%なので、大幅な引き上げとなります。

特に影響が大きいのは自動車と関連部材

九州経済調査会 河村奏瑛 研究員
「特に影響が大きいと思われるのが自動車、自動車そのものもそうですし、エンジンだったり、タイヤですとか自動車関連の部材、これが九州からアメリカに対して多く出ているので」

これは2023年の福岡県など九州7県の貿易輸出額です。

九州にとって、アメリカは中国に次いで2番目に大きな輸出相手国で、その額は1兆1700億円あまり。

九州からアメリカへの輸出を産業別に見ると、自動車が46.2%と半分近くを占めていて、自動車関連の企業は関税の引き上げで打撃を受けるおそれがあります。

自動車以外にも影響・・・すでに対策に取り組む企業も

対策を迫られているのは自動車産業だけではありません。

RKB 江里口雄介 記者
「産業機械メーカーです。こちらではトランプ政権への対策がすでに始まっています。」

福岡県うきは市で草刈機や運搬車を製造しているキャニコムは、年間30億円ほどアメリカに輸出しています。

キャニコム 包行良光 社長
「対策っていうのは我々も色々考えていまして、例えば部品で送って現地で組み立てをするっていうやり方であったりとか、あとは在庫を早く先出しで輸出をすると。半年分ぐらいの在庫が上限にはなるんですけど、それに近い台数の在庫をアメリカの方には、今送っている状況にあります」

この日も、アメリカに向けての出荷作業が行われていましたが、残っていたのはコンクリート運搬機2台のみ。

その他は全て出荷が完了していました。

アメリカに工場建設の動きは?

一律関税を回避するため、今後、アメリカ国内に工場を建設する選択肢もあるのか聞いてみました。

キャニコム 包行良光 社長
「例えばトランプさんというのは第3期目はないので、今現状では3期目はないので、次の大統領が果たして同じ関税を一律にするのかというのが考えにくい。アメリカ内での工場投資っていうのは現在のところは考えていません」

20年前からアメリカでビジネスを展開してきた包行社長は、一律関税がアメリカ国内にも混乱を引き起こすと危惧します。

一律関税でアメリカ国内の物価が上昇か

キャニコム 包行良光 社長
「アメリカの企業ですらメキシコで工場作ったりとかカナダで工場を作って持ってきている状況にはあるので、一律関税に対する流れというのは、逆に値上げに転嫁してしまうので、アメリカ国内自体もどうなるか、まだ予測がついていない」

一律の関税の引き上げで輸入品の価格が上がれば、アメリカ国内の物価が上昇し、インフレが起きかねません。

そうなれば、私たちの暮らしにも影響が出るかもしれません。

金利・物価・・・私たちの暮らしへの影響は

九州経済調査会 河村奏瑛 研究員
「アメリカ内でインフレが進むことによって、それが政策金利の引き上げにつながり、日本においては円安を引き起こすと言われている。普段の商品、輸入している商品のますますの物価の値上げ、物価の高騰というところは考えられるかなと思います」

公約通りに一律に関税を引き上げるのか?

大統領1期目に世界を驚かせてきたトランプ氏だけに2期目も目が離せません。

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