経営難で2021年から休館している福岡県飯塚市の嘉穂劇場が2026年秋ごろをめどに劇場見学を再開することがわかりました。
飯塚市の担当者は「まずは劇場を見学して関心をもってほしい」としています。
「再開」に向け段階的に整備
飯塚市にある芝居小屋「嘉穂劇場」は経営難で2021年に休館し、NPO法人から市に譲渡されました。
市によりますと、劇場の再開に向けた第一段階として2026年の秋をめどに内部を見学できるようにするということです。
実現すれば5年ぶりの開場となります。
その後、耐震補強工事を行い、多目的施設として貸し出す第二段階を経て照明などの舞台設備を整備し、劇場のリニューアルオープンを目指す最終段階に進む方針です。
現在の建築基準法に適合していない、楽屋棟などの解体費や劇場の改修費など現時点で少なくとも36億円ほどが見込まれていて、市は、当初の想定より予算が膨らんだことから段階的に整備を進めていくとしています。
去年7月、飯塚市教育委員会は、有識者で作る検討委員会から開館から100年となる2031年度にリニューアルオープンすることを求める答申を受けましたが、再開の時期は未定だということです。
飯塚市の担当者は「まずは劇場を見学して関心をもってほしい」としています。
昭和6年=1931年に開業
昭和6年=1931年に開業した嘉穂劇場は、石炭産業の発展とともに、「大衆演劇の殿堂」として親しまれ、国の登録有形文化財に指定されています。
美空ひばりさんや高倉健さんもゆかり
美空ひばりさんや高倉健さんなど、劇場にゆかりのある芸能人は多く、歌舞伎や歌謡ショーなど様々な公演が行われてきました。
2003年豪雨で被災
炭鉱閉山後も、筑豊のシンボルとして営業を続けてきましたが、2003年7月の集中豪雨では壊滅的な浸水被害を受け、廃業せざるを得ない状況にまで追い込まれました。
チャリティーイベントで営業再開も・・・
しかし、明石家さんまさんらによるチャリティーイベントや、かつて舞台に立った役者たちの呼びかけもあり、約4億8000万円の義援金が集まって、被災した翌年には営業を再開することができました。
新型コロナで来場者激減 解散へ
その後、年間5万7000人が訪れていた劇場も、新型コロナの影響で来場者数が激減。
2021年には運営団体が経営難で解散。休業となった施設は無償で飯塚市に譲渡され、再開に向け、調整が続いていました。