今年は戦後80年です。ノーベル平和賞を受賞した「日本被団協」の代表団として授賞式に参加した男性が、福岡市で報告会を開きました。1歳の時に被爆した男性は平和への強い思いを伝えました。
福岡市で開かれた「平和のつどい」
「黙祷を捧げたいと思います。黙祷・・・」
2日、福岡市博多区の市民センターで行われた「平和のつどい」。
戦争を体験した人や親が被爆者の「被爆2世」など、68人が集まりました。
1歳の時に長崎市で被爆した中村国利さん(80)
登壇したのは、1歳の時に長崎市で被爆した「福岡県原爆被害者の会」会長の中村国利さん(80)です。
福岡県原爆被害者の会 中村国利 会長
「12月10日、世界中が注目する中、ノーベル賞が授与され、メダル賞状が渡されました。これも日本被団協の先達が、一生懸命被爆者の思いを世界に訴え続けた賜物です」
中村さんは去年12月にノルウェーで行われたノーベル平和賞の授賞式に参加しました。
その中で、記憶に残ったというノーベル委員会の演説を紹介しました。
「あなたは世界の光」記憶に残ったノーベル委員会の演説
福岡県原爆被害者の会 中村国利 会長
「私たちは本日、希望の精神を持ってここに集いました。なぜなら、一筋の光があるからです。認識すべき光とは1945年以来核兵器が使われていないということです。あなた方は、抵抗し続ける力の象徴です。あなた方は、世界が必要としている光なのです。」
参加した高校生「平和大使」たち
この日行われた「平和のつどい」には、高校生も参加していました。
平和大使の活動に参加する生徒たちです。
柳川高校 2年 山崎璃心さん
「なんか平和っていうものにこうやってお話を聞いていると、いろいろ考えさせられることがあって、自分の中で整理がつけられなくなって…」
福岡県原爆被害者の会 中村国利 会長
「よくわかります。みんなで支え合い、寄り添う。そうしたことが平和につながっていくんじゃないか、要するに、他人を思いやる、そういう心を育んでいけたらいいなと思います。」
柳川高校 2年 山崎璃心さん
「(ノーベル平和賞を)受賞された後直後に署名活動を(北九州市)小倉で行ったんですけど、その時はやっぱり署名してくれる方の数が増えたりして、この時代にそうやって世界的に同じ思いを共有できるっていうのが大きいことかなって思っているから、同じ思いで活動しているものとして嬉しく思います」
「核抑止力に頼る姿勢は明確」
「日本被団協」がノーベル平和賞を受賞したことで、改めて、日本が世界で唯一の被爆国として注目を集めることになりました。
しかし、課題は山積していると中村さんは話します。
福岡県原爆被害者の会 中村国利 会長
「本来なら唯一の被爆国であれば、自ら先頭に立って核兵器廃絶に努める責務があると思うんですよ。日本政府は、ところがそれに反して核抑止力に頼る姿勢は全く明確。本当に残念。なんとかね。みんなの運動の力で変えていくようにしていかないといけないなと思います。」
二度と悲劇を繰り返さないために。
被爆者の思いを次の世代につないでいかなかればいけません。