最強寒波に覆われた日本列島。
今週中には寒波は退きそうですが、寒さが緩んだ時こそ、さらなる凍結に注意が必要なのです。
2016年、市内全域が断水した福岡県大牟田市では、「風が弱く晴れた夜」が水道管破裂の引き金になりました。
寒波が去った後にも気を付けて
今回の最強寒波では、全国的に道路の凍結などで交通機関が乱れ、水道管も凍結しました。
一般に、気温が3~5℃以下になると道路凍結のおそれがあり、氷点下3~4℃で水道管凍結のおそれがあります。
寒波が襲来すれば、道路、水道管とも凍結のおそれがあり、タイヤにチェーンを取り付けたり、水道管に保温チューブをまいたりと対策に余念がないことでしょう。
ただ、寒波襲来と同じく、あるいは、それ以上に大規模に凍結をもたらすものがあるのです。
極端に地表付近の気温を下げる「放射冷却現象」
それは、地表付近の熱が上空に放出され宇宙に逃げていく「放射冷却現象」。
誰でも一度は聞いたことがある現象だと思いますが、これがかなりの低温をもたらします。
夜晴れるとなぜ冷える?
放射冷却現象が起こる要因はふたつ。
① 夜、晴れていること(曇っていると、雲がお風呂のフタのような役目を果たし、熱が上空に逃げない)
② 夜、風が弱いこと(風が強いと、放射冷却でできた地表付近の冷気が上空の暖かい空気とかき混ぜられてしまう)
これが、寒波襲来後、天気が回復する途中の晴れた夜に発生すると、元々気温が低いところに放射冷却が効いて、極端な低温になるのです。
強い寒波+放射冷却で、水道管の破裂が続出した大牟田市
2016年1月24日、九州の平野部でも大雪となった後、25日夜から26日にかけて、水道管の凍結や破損に伴う断水が相次ぎました。
福岡県内では、県南部の筑後地方を中心に一時、7市町で最大約7万8千世帯が断水。
特に大牟田市では最低気温がマイナス7.4℃まで下がり、市内全域の約5万5千世帯が断水しました。
被害の中心が筑後地方がとなったのは、筑後地方には25日夜から26日にかけて雲がかからなかったため、放射冷却現象が顕著だったと考えられています。
雲がかかった沿岸部の福岡市はマイナス2.1℃、北九州市はマイナス2.4℃までしか下がらず、広い範囲での被害は確認されませんでした。
寒気が抜けた後も油断大敵です。放射冷却で凍結する水道「カン」にも注意せない「カン」!
RKB 気象予報士 龍山康朗