今月、愛媛を襲った記録的な大雨から10日。浸水した地区では、今後の災害に備え住民たちが動き出しています。気象が激甚化するいま…専門家は、いまできる‟想定外”への備えを訴えています。
今月2日の大雨で地区を流れる大川から水があふれた潮見地区です。
潮見地区 まちづくり協議会 森本常行さん:
「(土地が川より)下がっている。あの向こうの電柱あたりが、さっきカンカンいうて鳴りよったとこら辺」
大雨による浸水から10日。一見、日常が戻ったように見えますが…
森本さん:
「片づけはそのときにダーッとみんなやったけど、床上浸水したとこはまだなんじゃないか。なかなか思うようにはならんと思う。電化製品も全部だから」
去年7月にも浸水被害が起きた潮見地区。まちづくり協議会では、市に川底の土砂の撤去などを求めていく方針です。
独自の対策も動き始めています。協議会はきのう、浸水被害の実態を把握するためのアンケートを、地域の3000戸あまりに配布しました。
森本さん:
「こちらの(地図の)ほうに反映して、防災マップを作っていかないと。」
今後はアンケートの結果をもとに独自の防災マップを作成し、地域全体の防災意識の高揚につなげたい考えです。
森本さん:
「みんなが安心して暮らせるようにどうするか。来月の頭には(アンケートを)回収して、整理しようかなと。その結果をみなさんにお伝えしたらなんぼか違うのかなと」
今月2日、松山では1時間で最大78ミリと、観測史上最大の雨量を記録。松山市によると、これまでに130棟で床上浸水、368棟で床下浸水の被害などが確認されています。
市では、罹災証明書の申請受付のほか、8日から住宅や店舗などが被災した人を対象に復旧にかかる費用最大100万円を無利子で融資する「特別援護資金」の申し込みを受け付けています。
12日の会見で野志市長は…
「(2日)10時の時点で、気象台さんにお話を聞いたところ、その時点では今後警報を発表する可能性は低いということで、10時の段階で。でも10時半頃から急激に気象状況が悪化して、10時46分に大雨洪水警報が発表された。こういったこともありうるんだということで、これからの対応を考えていかなければならないと感じた次第です」
愛媛大学 森特定教授:
「排水能力が最高状態であっても間に合わないというそれぐらいの量だったと理解した方がいい」
土木工学が専門でインフラに詳しい愛媛大学の森特定教授です。
今月2日の大雨で起こった浸水被害について…
森特定教授:
「下水道の設計が5年に1度とか10年に1度のレベルの雨に(対応できるよう)整備しようという整備目標がある。30年に一度以上のようなものになってくるとこれは必ず溢れてくる。そういう所でも」
10年に一度、1時間に40.5ミリの雨を基準に整備されている松山市の下水道。
しかし今回、1時間に78ミリという基準をはるかに超える記録的な大雨によって、浸水が起きたのではないかといいます。
森特定教授:
「(排水施設を)なんとか早く改修してほしいとお願いすることは重要だけど、それができるのを待つのではなく、自らが対策していくのが重要だと思いますね」
こちらは松山市内で浸水が想定されるエリアを表示した内水ハザードマップです。作成の基準は1時間に83.5ミリの雨。
2日の大雨では、マップに示されていない所でも浸水が起こりました。
さらに今回、土砂災害発生の危険度が高まった時に発表される土砂災害警戒情報も発表された松山市。
森特定教授は、土砂災害や浸水、洪水などの危険度をあらわす気象庁の「キキクル」を活用するなど自分から情報を集め、行動に移すことが重要だと言います。
「自分の所にリスクがあるのかどうかを知る事がまずは大事。気象の激甚化というのは言われ始めて10年になるしおさまることはなく、これから激化の方向をたどっていくことを考えると、自主防災、自分で守れるものは自分で守るのが大事になってくる」