愛媛が世界に誇る「今治タオル」。更なる人気獲得へ、老舗メーカーが打った一手は?そして身近な“あの店”で進む販路拡大計画も。今治タオルをとりまく現状を取材しました。
今月。
和歌山から:
「四国をグルグルと回っていて、最終日にここでお土産を買おうと思って来ました。めちゃめちゃ柔らかいです」
富山から:
「いつまでもふわふわしているという印象なので是非、日常使いできるものが欲しいと思って来ました。孫も使っています。ずっとふわふわなので」
「退職や還暦祝いに(もらった)」
今治タオルのアンテナショップを訪れた観光客。お目当てはもちろん、「今治タオル」です。今治タオル工業組合が定める吸水性など、さまざまな独自の品質基準に合格した商品だけが名乗ることを許される、愛媛が誇るブランドタオル。
今治タオル認定第一号商品は
丸栄タオル 村上誠司会長:
「ここにあるのが今治タオル認定第一号商品。(東京)丸の内のパレスホテルから声をかけていただいて。「今治タオル」という知名度が少しずつ上がり認知されてきたと思います」
その後、口込みで評判が広がり、外資系ホテルからも注文が入るようになった今治タオル。今ではシンガポールの高級ホテルで丸栄タオルの商品が販売されるまでになりました。
タオルメーカーは最盛期500社から80社に激減
一見すると順調そのものに思える、今治のタオル業界。しかし1990年代には安価な輸入タオルに押され、生産量が減少。
2006年のブランド立ち上げで、一旦は生産量が復活しますが、2019年。記憶に新しい新型コロナウイルスの世界的な流行で、イベントや贈答用タオルの需要が減り、生産量が再び減少。最盛期に500を数えた今治市内のタオル会社は、現在およそ80社となっています。
インバウンド需要増で世界見据える老舗メーカー
そんな中…
丸栄タオル 村上誠司会長:
「これが2か月前に入った整経機という準備工程の機械です。ものづくりの幅も広がりますし、クオリティを高めるために導入した」
去年 丸栄タオルでは、最新機械の導入による品質と生産性の向上に踏み切りました。
村上会長:
「この円安を受けてインバウンドがどんどん日本に来て、海外の方の購入が非常に増えている」
去年、過去最多となる3千6百80万人が訪れた外国人観光客。丸栄タオルが東京や横浜などに展開する直営店でも需要が増加。影響を実感しているといいます。その要因の一つと考えられるのが、昨年来続く円安基調です。
去年7月には大阪梅田の大型商業施設「KITTE大阪」に、10店舗目の直営店をオープンさせた丸栄タオル。
村上会長:
「我々がシミュレーションしていた(売り上げが)約150%で推移している。今まさに円安のフォローの風が吹いているので、今年の万博で海外からのお客さんが日本に来て、そこで買っていただいて(今治タオルが)全世界に出ていって、そこからまた新たな動きが見えてくる気がします」
ファミマで売上好調の「タオルハンカチ」
高級タオルとして知られる「今治タオル」。数年前から、身近な“あのお店”でも販売されています。
ファミリーマート 商品本部 須貝健彦さん:
「コンビニエンスウェアのブランドが立ち上がった2021年の3月から全国発売しています。その当時から主力商品として今治タオルハンカチを販売しています」
大手コンビニチェーンのファミリーマート。店の一番目に付く場所で…今治タオルのハンカチを販売しています!
今治市のタオル会社や開発・企画会社と共同開発したオリジナル商品。これまでに全国の16200店舗で、想定を大きく超える700万枚を売り上げた人気アイテムです!
須貝さん:
「プリントだと表面的なところになるんですけど、こういった柄も1本1本の糸で表現しているところがコンビニエンスウェア(オリジナル商品)のこだわりです」
織る前に糸を染める「先晒し先染め」と呼ばれる今治タオルの技術を取り入れた、オリジナルのタオル。綿本来の柔らかさを引き出すための工夫です。
身近なコンビニエンスストアで手に入る、高品質の商品。
須貝さん:
「いい素材、いい技術いいデザインをコンセプトに掲げてものづくりをしていて、日本のお客様もそうですし、海外のお客さまにもご購入いただけるのではないかということで」
ファミリーマートでは去年、台湾の店舗でも今治タオルの販売をスタートさせました。
須貝さん:
「台湾の方はタオルハンカチを使う慣習はないと現地から聞いていたんですけど、発売したところ想定以上にタオルハンカチが売れた。今後、春夏、秋冬に向けて新しい柄を(国内で)販売していく予定をしています」
今後、海外のファミリーマートでも販売を開始する予定。愛媛から世界へ。更なる販路拡大で勢いを増す今治タオルに、2025年も注目です!
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