Infoseek 楽天

「後手後手」の万博協会、ガス爆発3カ月後の初公開 安全への不安の声をぬぐえるか

産経ニュース 2024年7月2日 22時15分

人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)で建設が進む2025年大阪・関西万博の会場予定地で3月に起きたガス爆発の事故現場が2日、初めて報道陣に公開された。日本国際博覧会協会(万博協会)に対しては事故後の対応や情報公開などへの批判がやまず、発生から3カ月が経過しても事故状況や安全性の説明に追われた形だ。来年4月13日の万博開幕後の安全対策への不安の声も一部で上がっており、再発防止が徹底できるかが問われている。

万博協会が公開したのは、3月28日にガス爆発事故が発生した会場西側のグリーンワールド(GW)工区にあるトイレ。コンクリートの床には約5・7メートルの亀裂、屋根材は10カ所が大きくへこみ、爆発の大きさを物語っていた。公開に立ち会った施工業者は、溶接作業の火花がガスのたまった地下空間に落ちて引火したと説明した。

事故を巡っては、施工業者が発生から約4時間半もたってから消防へ通報していたことや、屋根材の被害に気付かず約2カ月後に万博協会へ報告していたことが判明。万博協会も当初、事故現場の画像を破損した床の一部が写った1点しか公表せず、約2カ月後に別の角度から撮影した3点を公表するなど情報公開が後手に回った。

事故の起きた現場近くには、屋外イベント広場や飲食・物販施設が建つ予定だ。しかし地中の廃棄物からメタンガスなどが出ており、万博協会の測定では事故現場の地下空間で2~5月、労働安全衛生規則の基準値以上のガス濃度を76回検出。建設残土などが埋められた会場東側のパビリオンが建つ工区でも低濃度のガスが検出された。

こうした状況を問題視する声も上がり、大阪府内の教職員組合3団体は6月、府が万博に子供を無料招待する事業を中止するよう、吉村洋文知事ら宛てに申し入れ書を提出。「安全だと誰も言わない万博に子供を連れてはいけない」と訴える。

では、どのように万博の安全を確保するのか。万博協会は事故のあった工区で換気設備やガス検知器などを設置。会場全体でも複数箇所でガス濃度を測定し、検知箇所では換気するなどして安全対策を徹底する。測定値は協会ホームページや会場で公開することを検討。事故現場のエリアでは、当初から開幕後の火気使用を禁じている。

万博協会の藁田(わらた)博行整備局長は2日、記者団の取材に「事故の経験を生かして会期中の安全対策に努めていきたい」と話した。(宇山友明)

この記事の関連ニュース