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飯塚受刑者死亡、遺族の松永拓也さんが取材応じる「彼の思い、無駄にしないようにしたい」

産経ニュース 2024年11月25日 18時26分

「彼も若い女性と幼い子供の命を奪って刑務所に入り、そのまま命を落とすというのは非常に無念だったのではないか」

東京・池袋で平成31年4月に起きた乗用車暴走事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、禁錮5年の実刑判決を受けた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者(93)が死亡したことを受け、事故で妻の真菜(まな)さん=当時(31)=と長女の莉子(りこ)ちゃん=同(3)=を亡くした松永拓也さん(38)は25日、沖縄県西原町内で報道関係者の取材に応じた。飯塚受刑者の心中を察してこう語ると、「悲しい気持ち、辛い気持ちというのがある」と複雑な心境を口にした。

「私の思いをくんでくれた」

今年3月、遺族の心情を刑務所職員が聞き取って受刑者に伝える「被害者等心情聴取・伝達制度」を使って飯塚受刑者に「あなたの経験、言葉を再発防止に生かしたい」と伝え、真菜さんの父、上原義教さん(67)とともに飯塚受刑者が収監されている刑務所で面会。その際、飯塚受刑者は「世の中の高齢者の方に免許を返納するように伝えてください」と語ったという。

松永さんは「言葉が出ない中で一生懸命答えてくれた。私の再発防止にかける思いをくんでくれたと思う」と振り返ると、「彼の思いは無駄にしないようにしたい」と力を込めた。

妻と娘と出会うことがあるのなら…

上原さんは「彼が最初に真菜と莉子に『ごめんなさい』と謝ってくれていたら、憎しみという感情は湧かなかったと思う」と悔しさをにじませつつ、飯塚受刑者が反省している姿に接し、刑務所で面会した際には「早く刑務所から出て、家族と安らかに過ごしてほしい」と伝えたと語った。

松永さんは「少し嫌なことを言うかもしれないが」と前置きしたうえで、「妻と娘と出会うことがあるのなら一言、謝ってほしい。でもそれ以上の彼に対する強い気持ちは今はない」と語る場面もあり、心の傷の深さをうかがわせた。(大竹直樹)

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