首里城(那覇市)の大規模火災から5年となった31日、令和8年秋の完成を目指して再建が進む正殿(せいでん)で消火訓練が行われた。教訓を踏まえ、初期消火の手順などを確認したほか、水のカーテンを作って延焼を防ぐ「水幕防御システム」を活用した消火も実施した。
訓練は午前6時、正殿を覆う「素屋根」と呼ばれる仮設の建物の2階から出火したとの想定で始まった。非常ベルが鳴り響く中、自衛消防隊が初期消火に当たり、通報で駆け付けた市消防局の隊員が手際よく放水した。
正殿の正面では延焼を防ぐ「水幕防御システム」を導入。ホース側面の噴射口から水が勢いよく上がると、大きな水のカーテンができていた。
首里城は令和元年10月31日午前2時半ごろ出火。発見が遅れたうえ、当時は施設にスプリンクラーがなかったため、大規模な延焼につながった。鎮火には約11時間かかり、正殿を含む7棟を全焼。初期消火体制の弱さも浮き彫りとなった。
内閣府沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所の高橋涼所長は「復元工事が進めば、建物内の状況も変わっていく。工事のフェーズ(段階)に合わせてしっかりと火災に対応できるよう訓練を続けたい」と話した。