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<独自>辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故映像を入手 11日に県議会で映像確認へ

産経ニュース 2024年10月10日 18時56分

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が映っていることが10日、明らかになった。産経新聞が関係者からカメラ映像を入手し、確認した。県議会は11日、土木環境委員会で委員がこの映像を閲覧する方針。

事故は6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で起きた。桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。警備員は死亡し、女性は重傷を負った。

映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対し、路上で対応していた。警備員は、この抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出る様子が映像に残されていた。

警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突。10秒ほどの出来事だった。

関係者は「明らかに女性は警備員の制止を無視して飛び出している。警備員は女性をかばうような形でダンプカーに巻き込まれた」と証言した。

県警はカメラ映像の解析を進め、詳しい事故原因を調べている。

一方、事故現場で牛歩による抗議活動をしてきた市民団体のメンバーによると、重傷を負った女性は「あえて飛び出したわけではない」と説明。この市民団体と連携する「オール沖縄会議」は7月、2人がダンプカーに巻き込まれたのは「車両乗入部」と呼ばれる歩道部分で、「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」だったと主張する資料を公表していた。

遺族「精神的につらい」

事故現場となった辺野古移設工事に使う土砂の搬出港周辺では、移設に反対する市民団体のメンバーらがダンプカーの前をゆっくりと横断して抗議する「牛歩戦術」が続けられてきた。

今回明らかになった映像によって、抗議者の女性がダンプカーの前に飛び出した可能性が高まった。これまで抗議者側は、女性は飛び出したわけではないとの姿勢を崩さず、「安全に配慮した抗議運動」を尊重すべきだとも主張していた。

また、骨を折る重傷を負った女性が「骨は折れても心は折れない」との言葉を残し、「市民」らが勇気づけられたとする地元報道もある。こうした状況に、警備員の遺族は「今までで一番憤りを感じる記事だった。本当に本当に許せないし、とてもつらい」と心を痛めていたとされる。

今月4日の県議会の一般質問で、遺族の「思い」を読み上げた自民党の島袋大県議によると、警備員の妻は「報道やSNS(交流サイト)では被害者(の女性)に非はなく、非があるのは強引な警備などではないかとの誹謗中傷がほとんど」と振り返り、「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた。精神的につらく、心を痛めていた」と伝えてきたという。

映像には、徐行するダンプカーに近づく女性と、女性をかばうように制止しようとする警備員の姿が映っており、抗議者側の「主張」は崩れつつある。(那覇支局長 大竹直樹)

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