千葉県内で相次ぐ飲酒運転事故を少しでも減らそうと、県立千葉北高校3年、渡辺桃夏さんが啓発ポスターを作成した。飲酒運転がもたらす悲惨な事故の危険性を、工夫を凝らしたデザインで色彩豊かに表現。京成バスの車内などに張り出され、飲酒運転根絶の機運醸成につなげる。
渡辺さんは美術部に所属。千葉北署から同部に依頼があり、渡辺さんが1カ月ほどかけて啓発ポスターを仕上げた。
「絶対しない・させない・許さない」「STOP飲酒運転」の文言とともに、飲酒して夜の街を運転する人物が、黄色で表現されたビールの流れに飲み込まれ、事故を起こしそうになっている様子が描かれている。
「誰にでも伝わるようなデザインを心掛けた」と渡辺さん。ポスターは市内を走る京成バス80台に掲示されるほか、商業施設でも順次設置を進める計画だという。バス車内に、自身の手でポスターを掲示した渡辺さんは「少しでも多くの人の目に留まり、飲酒運転について意識してもらうきっかけになればうれしい」と話した。
12日には、交通安全活動に深い理解を示し、創意工夫を凝らしたポスターを作成したとして、同署の竹嶋司署長から渡辺さんに感謝状が手渡された。竹嶋署長は「素晴らしいデザインで、ポスターをきっかけに飲酒運転を一件でも減らしたい」と強調した。
県内では飲酒運転事故が後をたたない。令和5年の飲酒運転による交通人身事故は116件で、このうち死亡事故は6件だった。千葉市稲毛区と花見川区を管轄する千葉北署管内でも事故が頻発。今年1~10月末までの飲酒運転事故は12件で、昨年同期よりも4件多かった。同署の担当者は、事故が増える年末に向けて、飲酒検問や啓発活動にも一層力を入れて取り組む考えを示した。
来年は美術系の大学に進学するという渡辺さん。「デザインを通して人の役に立てるような仕事に就きたい」と笑顔を見せた。(松崎翼)