平成23年の東日本大震災の津波で児童・教職員84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小の卒業生と、17年に発生し107人が死亡したJR福知山線脱線事故の負傷者が3日、災害や事故の当事者としての思いを語り合う講演会「わたしたちはどう生きるのか」を、東京都内で開いた。
当時大川小5年で避難途中で津波にのまれたが奇跡的に助かった只野哲也さん(25)と、脱線事故で2両目に乗車し重傷を負った小椋聡さん(55)、同じく1両目で重傷を負った福田裕子さん(40)が参加し、それぞれの経験を語った後、対談。会場には約100人が集まった。
祖父や母、妹を津波で亡くした只野さんは、被災した大川小の校舎の保存活動などに奔走してきた日々を振り返り「(災害の)当事者でない人々にも伝わるような取り組みを続けていきたい」と語った。
小椋さんは「事故で学んだのは、自分が一番大事に思っているものが、次の日になくなっているかもしれない、ということ。みなさんの大事な人にも、それを改めて伝えてほしい」。事故当時は芸大生で、人物画が描けなくなるなど苦しんだ経験を持つ福田さんは「周りのサポートに支えられた。事故は誰にでも起きる。きょうの話を、想像するきっかけにしてほしい」と訴えた。