自転車のながら運転による事故は増加傾向にある。警察庁によると、自転車運転中の携帯電話使用などに起因した事故は平成25~29年の5年間で計295件。一方、平成30~令和4年の5年間では計454件で、約1・5倍に増加している。
交通心理学に詳しい九州大大学院の志堂寺和則教授は「運転の際には進行方向や周辺の情報を拾う必要があるが、画面を見ながら運転した場合には、必要な情報を十分に拾うことができなくなる」と指摘する。
事故は特に若者を中心に多く、令和5年中の自転車の携帯電話使用などによる事故197件のうち、20代までが7割以上を占めている。志堂寺教授は「スマートフォンを使用しながら生活する『ながら生活』が若い世代を中心に当たり前になっており、自転車に乗るときにもそのまま引き継がれている」とみる。
スマホは画面が小さい上に、興味のある情報があると画面を注視する時間や頻度が増え、重大事故につながる恐れもある。警察庁によると、全体では死亡事故が1件、重傷事故も25件確認されているという。
志堂寺教授は「『少しだけ』のつもりが少しではなくなっている場合も多い。事故を起こしたり、巻き込まれたりするリスクがあることを認識することが必要だ」と話した。