悪質な運転を処罰する危険運転致死傷罪の在り方を検討する法務省の検討会で13日、同罪の要件見直しを提案する報告書のたたき台が示された。高速度の運転や飲酒運転に関し、同罪を適用する具体的な数値要件を明記する案が柱。検討会は議論を進め、早期に報告書を取りまとめる。
危険運転致死傷罪はアルコール摂取で正常な運転が困難な状態での運転や、高速度で制御困難な状態での運転の自動車事故を罰している。通常の自動車事故を処罰する過失運転致死傷罪の法定刑の上限が7年なのに比べ、上限が懲役20年で重い。
近年、全国で猛スピードによる死傷事故で危険運転致死傷罪が適用されない事例が相次ぎ、遺族らが要件見直しを求めていた。
13日に示されたたたき台では、高速度運転について、法定速度を一定以上超えた運転を危険運転として処罰する新類型を設ける案を提示。飲酒運転については危険運転と判断できるアルコールなどの数値基準を明記するよう求めた。
ほかに、タイヤを滑らせて曲がるドリフト走行などによる事故も新たに対象とする案を示した。
検討会では、危険運転致死傷罪と過失運転致死傷罪の中間の類型を作る意見や、信号無視による事故を危険運転と判断できる範囲を広げる意見なども出たが、報告書では消極的な見方を示すのにとどめた。