埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。県は同市を「交通事故防止特別対策地域」に指定、県警は「適正な取り締まりを続ける」としている。
市内では9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。同29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。期間は10月8日から3カ月間。市によると、今年は9月末時点で9人が死亡し、昨年1年間の8人をすでに上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は10月17日、市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。死亡事故について「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」と指摘した。
要望書はその上で、クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」として、取り締まりの強化などを求めている。
また、10月1日には県議会の立憲民主党などでつくる会派などが県警本部に対し、11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」としている。