12月に東京都内で開催されたボディービルやフィットネスの世界一を決める国際大会に出場した選手2人が競技後のドーピング検査を拒否し、会場を立ち去っていたことが26日、関係者への取材で分かった。2人のうち少なくとも1人は体重別競技で優勝したアラブ首長国連邦(UAE)の選手だった。反ドーピングの国際ルールに違反した疑いがあり、主催団体側は優勝の取り消しなどを含めた処分を検討している。
大会は「IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ」で、国際ボディビル・フィットネス連盟(IFBB)の主催。東京都江東区の有明コロシアムにおいて12月16~19日の日程で開催され、40カ国超から600人以上がエントリーした。出場選手は競技終了後、ドーピング対策の一環として、尿と血液による検体検査を受けなければならない。
関係者によると、この大会では2人の選手がドーピング検査を拒否。うち1人は19日の体重別競技で優勝したUAEの男性選手だった。表彰式終了後、「ドーピング検査室」へと誘導しようとした検査員を振り切り、そのまま会場から立ち去っていた。〝逃走〟の様子は、ほかの多くの選手らが目撃していたという。
大会で検体採取を担当していた日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は、経緯を記した報告書をIFBBなどに提出。スポーツ庁も事実関係を把握しており、担当者は「必要に応じてJADA側から情報提供を受ける」と答えた。
この大会では、IFBBの国内関連団体である日本ボディビル・フィットネス連盟が運営をサポート。同連盟でアンチ・ドーピング委員を務める宮島望氏は、検査を拒否した選手の処分は「IFBB側で検討中」と説明した上で「検査を拒否するのはほかのスポーツではありえない。残念だ」とコメントしている。(岡嶋大城)