地下鉄サリン事件など数々の事件を起こし、死者29人、被害者6500人以上に上ったオウム真理教事件の裁判は平成23年11月に終結したが、その年末に、再び動き出した。
新年まであと10分と迫った12月31日、目黒公証役場事務長監禁致死事件などで特別手配されていた教団元幹部の男=当時(46)=が警視庁丸の内署に出頭した。翌年6月には指名手配されていた元信者の男女2人が逮捕された。その後、女性は無罪が確定した。
オウム真理教を巡る一連の事件では192人が起訴され、13人の死刑、6人の無期懲役判決が確定。全面無罪は2人。刑事裁判は元教祖の麻原彰晃元死刑囚(本名・松本智津夫)が逮捕された7年5月から約23年を経て30年1月に終結した。
未曽有の無差別テロを起こし、平成の日本を揺るがしたオウム真理教。平成最後の夏となった30年7月6日、麻原元死刑囚ら7人の死刑が執行、同26日、残る元幹部ら6人も執行された。麻原元死刑囚が法廷で事実を何も語らないまま、事件は終幕を迎えた。
一連の事件を通じ、広域犯罪に対応するための改正警察法が施行されたほか、従来の爆発物処理班を発展させた専門部隊が発足するなど、次々に法整備が進んだ。
公安調査庁によると、教団は3つの後継団体に分かれ、一部では麻原元死刑囚への帰依を深めるための活動が確認されているという。国が保管している麻原元死刑囚の遺骨などを巡って訴訟が続くなど、事件の余波は令和を迎えた今も続いている。(大渡美咲)