東京女子医大(東京都新宿区)の新校舎棟建設を巡る背任事件で、元理事長の岩本絹子容疑者(78)が、大学から1級建築士の男性(68)に支払わせた不当な報酬約1億1700万円のうち計約3700万円を、紙袋に入れた現金で受け取っていたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。銀行を利用せず直接現金をやり取りして金の流れを発覚しづらくする狙いだったとみて、警視庁捜査2課は詳しく調べている。
捜査関係者によると、建築士の男性は大学から銀行に振り込み入金された現金を、紙袋を二重にして包み、岩本容疑者の側近の女性に手渡し。同日中に岩本容疑者に届けられたとみられる。
受け渡しは岩本容疑者の自宅近くの東京メトロ東西線葛西駅周辺で行われた。捜査2課が昨年7月に行った家宅捜索では、岩本容疑者の関係先から多額の現金を入れたスーツケースや金品が見つかっている。
大学からは男性に対し、平成30年7月~令和2年2月、給与とは別に「建築アドバイザー」報酬名目で、計21回にわたり計約1億1700万円が振り込まれた。税引き後の約5500万円のうち岩本容疑者の取り分は3分の2で、平成31年と令和2年に計約3700万円を受け取っていた。あらかじめ取り分を決めていたとみられる。
男性への支払い給与は大学の理事会の了承を得ていたが、理事会で岩本容疑者は「(男性には)仕事に見合う額が支払われていない」とする旨の発言をしていた。男性には、通常の給与振込口座とは別に建築アドバイザー報酬用の口座を作らせ、その金を還流していたとみられる。