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北の貿易事業所、IT技術者を管理、雇用か 衣料品不正輸出で札幌の男を書類送検

産経ニュース 2024年9月6日 13時0分

北朝鮮IT技術者が外国人に成りすまして不正に稼いだ外貨で日本メーカーの衣料品を調達し、北へ不正輸出したとして、大阪府警は6日、外為法違反(無承認輸出)容疑で、札幌市の無職男(85)を書類送検した。男に衣料品を注文したのは北の経済特区「羅津」区域にある貿易事業者。事業者が北のIT技術者を雇用したり管理したりしていた可能性もあるとみて、府警は詳しい実態解明を進めるほか、他に協力者がいないかについても調べる。

府警によると男は、令和元年12月、経済産業相の許可を受けず、日本メーカーから仕入れた下着など衣料品約200点(約40万円相当)を国際スピード郵便(EMS)を使い、日本から中国経由で北朝鮮に輸出した疑いが持たれている。

衣料品の購入には、IT技術者が日本在住のモンゴル人女性名義のIDを使って、海外企業からソフトウエア開発業務を受注して稼いだ資金が使われていたとみられる。府警は国内在住者の情報が北朝鮮側に伝わった経緯についても調べる。

捜査関係者によると、男はかつて北の「羅津」区域で水産加工会社を営んでおり、「北との関係維持が目的だった」と説明しているという。男の携帯電話を解析した結果、北の貿易事業者から日本のメーカーごとに商品名やサイズ、必要な衣類の数が記されたメールの記録があった。

男は中国・吉林省在住の協力者に荷物を発送し、協力者が北朝鮮国内に持ち込む手口で「平成29年ごろから40、50回不正輸出した」と話しているという。

北のIT技術者による違法な外貨稼ぎをめぐっては国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、一部は核・ミサイル開発費や物品購入に充てられていると注意喚起しているほか、警察庁も今年3月、北IT技術者の特徴をまとめ、企業側に注意するよう呼びかけている。

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