弁当工場の作業風景を中国語で紹介する動画がSNSで拡散され、物議を醸している。中国人とみられる従業員の一日を紹介する内容だが、男性の声のナレーションで、日本人に対する蔑称「小日本」に加え、「毒薬を」とも聞き取れるためだ。動画に映る通勤風景は仙台市内とみられ、同市は対応を急ぐ。
3分超の動画は、麻婆豆腐や餃子を作り、昼休憩に焼きそばを食べ、仕事終わりには排水溝を掃除する様子を女性が中国語で紹介するもの。カメラに向かってピースサインする男性や、中にはマスクを外して唐揚げをつまみ食いする女性の様子も。
問題のシーンは、二列に並べられたハンバーグ弁当に調味料をかけていく際、「小日本に毒を盛らないの」などと中国語でちゃかすような男性の声が挿入されている。
この動画について仙台市は16日に「市内の工場ではないか」と情報提供を受けており、衛生教育の順守状況や撮影に使われたスマートフォンなど不用品の持ち込みの有無などを確認する。市の担当者は、「スラングを使って『薬物毒物を混入してやろうじゃないか』とも聞き取れるコメントを誰がつけたのか。消費者に対して、あらぬ疑念を抱かせるようなことはあってはならない」と強調した。
仙台市の伊藤優太市議にもSNSなどを通じて、不安の声が寄せられているという。伊藤氏は産経新聞の取材に、問題の男性の声について「現場の従業員とは確認されていない」と指摘した上で、「地域に不安を生んでいるのは間違いない。食品安全の徹底のため行政も議員側も対応する必要がある」と語った。
東北地方で集団での健康被害の発生は確認されていない。(奥原慎平)