改正暴力団対策法や暴力団排除条例の影響で、暴力団が表だった活動を控える代わりに台頭してきたのが「半グレ」と呼ばれる存在だ。「半分グレている」の略語で、既存の暴力団ではないが暴力的な犯罪を行う集団を意味する。その象徴ともいえる事件が平成24年9月2日に起きた。
東京・六本木のクラブに目出し帽をかぶった約10人の男が押し入り、VIP席で酒を飲んでいた飲食店経営の男性=当時(31)=を金属バットで殴り、逃走した。男性は死亡したが、その後の捜査で、〝人違い〟により、殺害されたことが判明する。
事件を主導したのは暴走族「関東連合」OBグループ。東京都世田谷区と杉並区の少年で構成された暴走族の連合体として結成され、15年に解散したが、その後もOBらは結束力を保っていた。メンバーは事前にクラブ側に狙っていた抗争相手のリーダー格の特徴を伝え、来店した際には連絡するよう依頼していたという。
警察庁は翌25年、関東連合などのグループを暴力団に準じる組織「準暴力団」と命名し、全国の警察で取り締まりを強化。首謀したとみられる関東連合元メンバー、見立真一容疑者(45)は殺人容疑などで重要指名手配されているが、現在も逃亡中だ。警察庁などは事件解決に結びつく情報提供に最大600万円の懸賞金を指定している。情報提供は麻布署捜査本部(03・3479・0110)。(梶原龍)