東京女子医大(東京都新宿区)の新校舎棟建設を巡り、大学側に約1億1700万円を不正に流出させたとして、警視庁捜査2課は13日午前、背任の疑いで、同大元理事長の岩本絹子容疑者(78)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。警視庁は、支出の一部を自身に還流させた可能性もあるとみて、全容解明を進める。
捜査関係者によると、岩本容疑者は平成30年7月~令和2年2月、同大キャンパスの「弥生記念教育棟」「巴研究教育棟」の建設工事を巡り、東京都台東区の建築会社の男性(68)に、「建築アドバイザー」としての業務報酬名目で、給料とは別に大学側に計約1億1700万円を不正に支払わせていた疑いが持たれている。
これらの支出は同大理事会の了承を得ていたが、実際に男性が行った業務内容が伴わないなど、いずれも形式的なものだった。岩本容疑者は無用な支出を避ける立場にありながら、こうした不正行為を行っていたことから背任容疑での逮捕に至ったとみられる。
岩本容疑者は平成31年4月に同大理事長に就任。令和5年3月には、同大の一部の卒業生らが、岩本容疑者が大学の理事会の承認を得ずに大学の資金を取引先に不正に流出させ、大学に損害を与えたとして背任容疑で刑事告発していた。
警視庁は昨年3月、大学の本部や元理事長の自宅などを一斉に捜索していた。