今年8月、靖国神社(東京都千代田区)の神社名が刻まれた石製の「社号標」に落書きされた事件で、中国籍の少年が関与した疑いが強まったとして、警視庁公安部は21日、礼拝所不敬と器物損壊の疑いで逮捕状を取得した。捜査関係者への取材で分かった。少年は事件発覚当日に出国している。
事件は8月19日午前3時50分ごろ、神社職員からの通報で発覚。警視庁麴町署員が駆け付けたところ、中国語で「厠所(便所)」や「狗(犬)」、「軍国主義」などとする、中国で使われる簡体字の落書きがあった。
捜査関係者によると、少年は事件の数日前に複数人で日本に入国。18日夜に一人でホテルを出て靖国神社に向かった。神社でも社号標の台座に上がる少年とみられる人物の姿が防犯カメラに映っていた。その後少年はホテルに戻ってから出国した。中国の交流サイト(SNS)には、少年のものとみられるアカウントで犯行をほのめかす投稿もあった。
現場の社号標では5月にも中国人の男3人が共謀して落書きし、公安部が1人を礼拝所不敬容疑などで逮捕。出国した残る2人についても逮捕状を取って行方を追っている。また、今月11日にも塀に「死」などの落書きが見つかっている。