京都アニメーション放火殺人事件の発生から５年となった１８日、京都府宇治市の公園に新設された事件を伝える碑の前には、朝から多くのファンらが訪れた。「京アニは心の支え」「事件を絶対に忘れない」。京アニへの感謝の気持ちを新たにするとともに、亡くなったスタッフらの冥福を祈った。
この日、京アニ本社のある宇治市の「お茶と宇治のまち歴史公園」を訪れた京アニファンの目前にあったのは、１４日に設置されたばかりの「志を繋（つな）ぐ碑」。事件を後世に伝えるほか、復興に向け国内外から寄せられた支援への感謝を象徴する場所と位置付けられる。
碑には犠牲者数と同じ３６羽の鳥と碑文があしらわれている。＜夢と情熱を人から人へ＞。正面に立つと、ちょうど京アニ第１スタジオ跡地（京都市伏見区）の方角を向くよう設計されている。
「すてきな作品をありがとう」。神戸市北区の会社員、浜田雅之さん（５０）は碑に向かって呼びかけた。過去に気落ちしていた時期、京アニのキャラクターに励まされたという浜田さん。「京アニ作品は心の支えです」と前を向いた。
京都府亀岡市の公務員、谷文乃さん（２２）は「みんなの思いが形になる碑ができた。事件のあった日は絶対に忘れない。京アニには今後もすてきな作品を作ってほしい」と話した。
かつて献花台があった京阪六地蔵駅近くの路上では、事件発生時刻の午前１０時半ごろ、興禅寺（京都市伏見区）の住職、藤沢めぐみさん（５６）が読経に訪れた。藤沢さんは月命日に読経を続けており、「ご家族のつらい思いは続いている。この事件を忘れてはいけない」と語った。（堀口明里、荻野好古）