海上自衛隊が潜水服の入札で特定業者を優遇していた疑いがある問題で、入札仕様書が定める性能を満たしていた別の業者製の潜水服について、海自側が「裏地の色が仕様書と違う」などの理由で応札を認めないケースが複数回あったことが15日、関係者への取材で分かった。海自側が仕様書を盾に不当に入札から排除した疑いがある。
海自が令和5年12月に公表した「潜水服共通仕様書」では性能のほかに裏地の色や素材の割合、糸の太さなどを詳細に指定する一方、性能が同等以上なら応札を認める条項がある。
西日本を拠点とする潜水服業者によると、この業者は6年1月の海自の部隊の入札で、製品が仕様書の性能を満たしたことを示す証明書を提出。応札を希望したが、海自側は「裏地の色が異なる」などとして、応札を認めなかった。
海自側はこの業者に「遭難時に目立たせるため」と説明しているが、複数の業者によると、遭難時に潜水服を脱ぐことは想定できず、裏地の色指定には合理性がない。
その後、仕様書公表時点で要件に合致した製品を事実上、独占的に扱っていた「シンカテック」(横浜市)が落札した。
同年にあった別の複数の部隊の入札でも、西日本の業者の応札が否定されており、不当な排除が部隊の枠を超えて繰り返されていた疑いがある。