太陽光発電施設の送電に使われる金属ケーブルをはじめとする「金属くず」の買い取り業者に18日、捜査のメスが入った。銅線ケーブルは北関東を中心に全国で被害が相次ぎ、今年の被害は昨年を上回るペースで推移。警察当局は、現在規制がかかっていない買い取り業者への規制の在り方について、議論を進めている。
「外国人グループがやすやすと金属製品を盗み、簡単に現金化して母国に送金しているのが実情」。ある捜査幹部はこう明かす。
警察庁によると、金属の国際価格の高まりなどから、送電ケーブルの窃盗被害は今年6月末で4161件と、昨年1年間の5361件を上回るペースで推移。送電ケーブルに限らず銅板や、「グレーチング」と呼ばれる側溝のふたなども含めた金属窃盗全体の被害も同様に増加傾向という。
昨年以降、摘発された犯人グループを国籍別にみると、6~7割が東南アジア系外国人。「逮捕しても次から次に新しいグループが現れる」(捜査関係者)という。
摘発のいたちごっこが続く中、注目を集めるのが買い取り業者対策だ。美術品や電車の乗車券などは「古物」として、買い取りの際は本人確認をするほか、盗品を買い取った場合は警察に連絡する義務がある。
ただ、金属くずは古物に入らないため、条例で古物と似た扱いにするよう定めている自治体もあるものの、「穴」があるのが現状だ。警察庁は9月、規制に関する有識者会議の初会合を開催。法律で規制をかけるか、自治体の条例での対応を促すかなどを含め、今後議論を進めるとしている。
(橋本昌宗、内田優作、梶原龍)