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「投資の世界で有名な人」を信じて「早く振り込ませて」1時間半かけ説得 銀行員に感謝状

産経ニュース 2024年9月3日 18時14分

交流サイト(SNS)などを通じて金をだまし取る投資詐欺を未然に防いだとして、堺署は2日、三十三銀行堺支店(堺市堺区)の行員3人に感謝状を贈呈した。振り込みを求める高齢女性を、1時間半にわたり説得した行員らの粘り勝ちだった。

感謝状を受け取ったのは、副支店長の小川浩典さん、主任の高岡佳奈さん、窓口担当の窪田春菜さんの3人。

8月5日午前10時ごろ、同支店を訪れた80代の女性が50万円の振込を依頼。窓口で対応した窪田さんが目的を尋ねると女性は投資だと述べた。しかし、入金先が外国人らしき個人口座であることを不審に思った窪田さんと高岡さんが詳しく事情を聴くと、女性は通信アプリ「LINE(ライン)」で投資に誘われ、「投資の世界で有名な人」を信じて入金していると説明。2人は典型的なSNS型投資詐欺だと判断し、副支店長の小川さんが警察に通報した。

女性はすでに計40万円を入金しており「もうかっているねん」と資産が上昇しているように表示されたスマホアプリなどを見せたが、駆けつけた同署の刑事らが「それはウソのアプリですよ」などと粘り強く説得。振込を断念させ、未然に詐欺を防いだ。

贈呈式の後には、同署管内で詐欺防止の啓発などに取り組むボランティアグループ「オバスターズ」と行員が再現の寸劇を上演。説得を振り切り「早く振り込ませて」と声を荒らげる被害女性を熱演した。

オバスターズは、堺区内のおおむね60歳以上の一般女性を中心に35人のメンバーが、無人ATMをパトロールしたり、地域の集まりで寸劇を上演したり、詐欺防止の活動に取り組んでいる。

警察庁のまとめではSNS上で著名人などをかたって投資に勧誘する「SNS型投資詐欺」の1~7月の被害額が前年同期比で約489億3千万円増の約580億4千万円に上っており、認知件数は4099件となり、3294件多い。

岡野明子署長は「暗号資産や株の投資話でだます手口は後を絶たない。SNSでもうかるというのは絶対に詐欺です」と注意を呼び掛けた。

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