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「ただ黙って抱きしめてあげたい」 横田めぐみさんが5日で60歳 母の早紀江さんが思い

産経ニュース 2024年10月3日 16時37分

北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=が5日で60歳の誕生日を迎えるのを前に、母の早紀江さん(88)が3日、川崎市内で報道陣の取材に応じ、「抱きしめたい。それだけが願い」と切実な思いを明かした。

この日は自宅の寝室などに置いているめぐみさんの写真を持参した。新潟に暮らしていた当時通っていた新潟市立寄居中学校で、めぐみさんの父の滋さん=令和2年に87歳で死去=が桜並木を背景に撮影したものなどで、毎晩のように「まだ帰してあげられない。ごめんね」と声をかける。

めぐみさんは昭和52年11月15日、同中からの下校途中に拉致された。長い時間が経過した中で、間もなく還暦になる娘の姿について、早紀江さんは「想像もつかない」。自身は88歳となり、衰えを痛感しているが「自分が倒れてしまったら終わり。そういう思いで日々頑張っている」という。

拉致問題を巡っては、今月1日に就任した石破茂首相の対応にも注目が集まっている。首相は従前から、東京と平壌に連絡事務所を開設し、拉致被害者に関する情報共有や調査を進めるとの考えを示しているが、家族らは、無用に時間がかかるだけなどとして不要論を主張している。

早紀江さんもこの日、「そんなこと(事務所開設)をしなくても、北朝鮮は(被害者の居場所などを)すでに把握している。あちらが被害者を家族のもとに帰してくれればいいだけの話」と指摘。首相には日朝首脳会談の一刻も早い実施を求めた。

60年前、最初の東京五輪の開幕直前に産まれてきたわが子だ。「身体が大きくて、初めて抱いたときのお尻の重たい感触は今も忘れない。母親なら誰もがそうでしょう」。

母子の人生が引き裂かれ、半世紀近くが過ぎた。再会がかなったらどんな話をしたいか問われると、「ただ黙って、抱きしめてあげたい」と答えた。

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