首都圏で相次ぐ闇バイトによる強盗事件。西日本でも被害が確認され、警察当局は警戒を強めている。会社社長宅をターゲットに実行役の男は執拗(しつよう)に侵入を試みていた―。
「泥棒が来ています。早く来てください」。4月12日午前4時20分ごろ、玄関をこじ開けようとする不審な音に気付いた60代男性はこう110番したという。
大阪市淀川区のマンションに侵入したとして大阪府警に邸宅侵入の疑いで逮捕された住居不定、職業不詳の今井裕治(ゆうじ)容疑者(37)ら。実行役の島宏至(ひろし)容疑者(21)は前日の午前6時にも男性のマンションに侵入しており、入念に下見をしていたとみられる。
島容疑者は今年3月12日、山口県下松市の会社事務所に侵入し強盗致傷事件に関与したほか、同17日にも、大阪府吹田市の会社事務所に窓ガラスを割って侵入した建造物侵入・窃盗未遂事件にも関与したとして同罪などで起訴されている。
府警が島容疑者らのスマートフォンを解析したところ、指示役として今井容疑者が浮上。今井容疑者がリクルーター役に交流サイト(SNS)で闇バイトを募集させていたことが判明した。
府警によると、今井容疑者が指示役とみられるトクリュウグループには少なくとも実行役など男10人が所属していたとみられ、関係者のスマホからは闇バイト応募者の運転免許証の写真データも見つかっているという。
府警は今井容疑者がSNSで募った実行役に個人情報を送らせ、逃げられないようにした上で大阪や山口などで強盗や空き巣の実行を指示していたとみて、詳しく調べる。(木下倫太朗)