三菱UFJ銀行の貸金庫から、顧客が預けた金塊を盗んだとして、警視庁捜査2課は14日、窃盗の疑いで、東京都練馬区の元行員、今村由香理容疑者(46)を逮捕した。今村容疑者は約4年半で計約60人から十数億円相当の金品を盗んだとみられ、捜査2課が全容解明を進める。
捜査関係者によると、今村容疑者は昨年9月ごろ、勤務していた練馬支店(練馬区)の貸金庫から男性顧客2人が預けていた金塊約20キロ(約2億6000万円相当)を盗んだ疑いが持たれている。
三菱UFJ銀行によると、今村容疑者が勤務していた練馬支店(旧江古田支店含む)と玉川支店(世田谷区)で、令和2年4月~6年10月に被害があった。今村容疑者は支店の店頭業務責任者として、貸金庫業務を統括する立場だった。銀行が保管している顧客のスペアキーを使って貸金庫を開錠していたとみられる。
契約している顧客から指摘を受け、昨年10月に被害が発覚。三菱UFJが今村容疑者に確認したところ、犯行を認めたという。同行が昨年11月14日付で懲戒解雇し、警視庁に相談していた。
今村容疑者は、盗んだ現金や質店への売却で得た金を、FX(外国為替証拠金取引)や借金の返済に充てていたとみられる。
問題を巡っては、同行の半沢淳一頭取が昨年12月に記者会見を開き、「お客さまに多大な不安を与えたことを非常に重く受け止めている」と謝罪。スペアキーを本部で一括して管理するといった再発防止に取り組む考えを示していた。