小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリメントを巡る健康被害問題で、小林製薬は8日の記者会見で、紅麹を約50日間培養する際に青カビが混入・増殖した可能性があることを認め、衛生管理や手順書の不備もあったと説明した。小林章浩前社長は「紅麹は天然物で他とは違う管理や注意を要する。リスク感度を高め、人員体制や教育、設備強化を図るべきだった」と謝罪。衛生・危機管理の意識の希薄さが改めて浮き彫りとなった。
「現場のオペレーションを把握しきれていなかった。製造本部のガバナンスはもちろん、工場のマネジメント、会社全体の風土、経営の問題もあった」。会見で山下健司製造本部長はこう説明した。
小林製薬は今年1月、医師からの連絡でサプリ摂取者が腎疾患を発症した事例を把握しながら、3月下旬まで公表を控えていた。小林前社長は「私の判断のスピード、力のなさだ」と謝罪したが、会見では公表や製品回収の対応の遅れへの質問が相次いだ。
7月23日に公表された外部識者による検証報告書では、2月に医師がサプリ摂取者について腎疾患の報告があるか問い合わせた際、同社が「報告はない」と虚偽の回答をしていたことが判明。サプリ問題を協議していた小林氏をトップとする経営執行会議が同月20日以降、議事録や録画を作成していなかったことも明らかになった。
こうした対応に隠蔽(いんぺい)の意図があったか問われた山根聡社長は「うまく統制が取れなかった。意図を持って言わなかったわけではない」と釈明。同社幹部も会議の録画をしなかった点について「参加される人が忌憚(きたん)なく意見を言い合えるようにするのが目的だった」と隠蔽の意図を否定した。