東京都議会自民党の政治団体「都議会自民党」の会計担当、矢島英勝職員が17日、東京地検特捜部に政治資金規正法違反罪で略式起訴された。特捜部は自民党派閥パーティー収入不記載事件と同様の構図で、地方組織でも事件化に踏み切った。
関係者によると、特捜部が水面下で都議会自民党の捜査を進めていることが広まり始めたのは令和6年前半のこと。自民都議のもとに、党関係者からパーティー券の販売数などを問い合わせる書類が届いた。
5年末に発覚した派閥の不記載事件では、派閥のパーティー券の販売ノルマを所属議員に課し、ノルマ超過分は派閥が議員に還流するか、議員が「中抜き」するかし、収支報告書に記載していなかった。特捜部は地方組織にも同様の慣例が広がっている可能性があると疑っていたとみられる。
特捜部は昨秋以降、都議会自民党の関係者を複数回、聴取。複数の都議が同様の中抜きをしていたことが発覚した。
特捜部が考慮したのは派閥不記載事件での立件ライン。一連の事件では、収入の不記載額が約3千万円に上った岸田派の元会計責任者が略式起訴されている。都議会自民党の不記載額は収入だけで3500万円で、これを上回っていた。
名目上の会計責任者は変わっていたが、実務は矢島氏が一貫して担当。検察幹部は「金額が積みあがった以上、立件するのは自然だ」と話す。
一方、不記載額が最大でも数百万円分だった都議側は立件を見送った。検察幹部は「粛々と処理するだけだ」としている。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)