兵庫県の斎藤元彦知事が再選を果たした11月の知事選でPR会社に有償でインターネット上での選挙活動を含む広報宣伝を任せたとされる疑惑で、神戸学院大の上脇博之教授と郷原信郎弁護士は2日、神戸地検と兵庫県警に公職選挙法違反(買収)罪で斎藤氏を告発したと明らかにした。同法違反(被買収)罪でPR会社の女性代表も告発した。1日付で告発状を送付したという。
一連の疑惑では、女性代表が11月20日、インターネットで「広報全般を任せていただいた」などと投稿し、公選法違反の疑いが浮上。斎藤氏の代理人は同月27日、記者会見し、ポスター製作費などとして71万5千円を支払ったことは認めつつ、「広報戦略の監修を担ってもらった認識はない」と違法性を否定した。
告発状では、女性代表が投稿の中で一時、告示前から投開票日まで3つの期間に分けて交流サイト(SNS)の運用を提案したことなどに言及していたと指摘。斎藤氏側の「(女性代表は)ボランティア」「広報全般を任せていない」との説明は「不合理で、女性代表の投稿内容の信憑(しんぴょう)性は高い」とし、約70万円は「ネット広報活動全般の対価であることは明らか」と訴えている。
総務省は買収罪について「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合、業者への報酬は買収となるおそれが高い」としている。
郷原弁護士は、元検察官で長崎地検次席検事などを歴任。上脇教授は「政治とカネ」の問題に詳しく、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題の追及もしてきた。