犯罪実行役を募集する闇バイトを通じた強盗事件などが多発していることを受け、警察庁は23日、捜査員が架空の身分証を作成して「雇われたふり」をする「仮装身分捜査」の実施に向け、都道府県警に実施要領を通達した。事実上の解禁となる。ほかの方法では捜査できない場合などに限定しつつ、実行役の検挙、犯行の抑止を狙う。
警察庁によると、「雇われたふり」による捜査はこれまでも行われてきたが、身分証の提示を求められ、捜査を継続できなくなるケースが相次いでいた。
今回作成した実施要領では、捜査の手続きや順守事項を規定。作成する架空の身分証は運転免許証のほか、住民票、マイナンバーカード、学生証などで、状況に応じて電子データも用意する。捜査で警察官が犯罪に加担するなど、新たな犯罪被害が発生しないようにするという。
対象は強盗、詐欺、窃盗、電子計算機使用詐欺と、それらに関わる犯罪に限定。主にX(旧ツイッター)などで募集される闇バイトに応募し、指示に従って架空の身分証を提示する。犯行や準備の現場に赴いて実行役の検挙や犯行防止につなげる。警察庁は上位指示役への突き上げ捜査や、犯罪発生自体を抑止する効果にも期待している。
警察庁の担当者は「法の範囲内で捜査の適正さを確保しながら、闇バイトの指示役や実行犯の検挙に向けた取り組みを進めていきたい」と話した。