為替相場の変動を予想して投資する「バイナリーオプション」(BO)を巡っては、約10年前から全国の消費者センターなどへのトラブル相談が相次いでいる。若者が交流サイト(SNS)で「絶対勝てる」などと勧誘され、高額商材を売りつけられたり、無登録業者との取引で多額の損失を抱えたりするトラブルが目立つという。
《ボタンを押すだけで爆益》《他人任せで稼げる》。SNS上には甘い言葉とともにBOを宣伝するアカウントがあふれている。
BOは、高度な知識が必要で非常にリスクの高い取引にもかかわらず、業者側は「少額でも可能」「短時間で結果が出る」と手軽さをPR。投資経験のない若者が射幸心をあおられ、虚偽の学習教材が入ったUSBメモリーを高額で購入させられるケースが目立つ。
実際、元手が数百円でも取引でき、国内では最短2時間程度で結果が出るため、株式や債券投資よりも手っ取り早く利益を得ることができる。
一方で株価や為替の変動要因は複雑で、正確に予想するのは至難の業だ。賭博性が高く、つぎ込んだ資金をすべて失う人も。海外の無登録業者絡みのトラブルも深刻で、業者のサイトに口座をつくり投資金を入金後、返金されないまま業者側と連絡がとれなくなった人も多い。
今回の被害者は「勝率が80%に上がる商材がある」などとそそのかされ、BOに手を出したとみられるが、捜査関係者は「BOは単純な取引に見えて『丁半ばくち』と変わらない」と指摘する。
国民生活センターによると、BOに関する被害相談は平成25年度の13件から翌26年度に1151件へ急増。昨年度は261件と減少傾向にあるものの、依然相次いでいる。若年層からの相談が目立ち、20代が4割を占めているという。