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海自潜水服入札不正疑惑 安全保障に影響も 専門家「チェック体制再考を」

産経ニュース 2025年1月14日 5時0分

海上自衛隊が実施する潜水服の一般競争入札で特定の業者が優遇されていた疑いが浮上した。専門家は「自衛隊が高価で質の悪い装備品を使うことにつながる」と指摘。日本が中国、北朝鮮、ロシアの脅威に直面するなか、影響が安全保障に及びかねないとの懸念を示している。

一般競争入札では、官公庁が不特定多数の参加者を募り、最も安価な条件を出した業者が落札する。海自が仕様書などで特定の業者を優遇すれば、防衛産業で正常な競争がなくなり、より質が高い装備品の開発などが滞りかねない。

陸上自衛隊OBで日本大危機管理学部の吉富望教授は「競争入札を健全に行うことが、良質な装備品の調達につながる」と指摘。「特定企業を優遇して必要以上に装備品が高額になれば、他の装備の予算が圧迫され、防衛費の効率的な使用が阻害される」と危惧する。

政府は安全保障強化のため、令和5年度以降、防衛予算を大幅に増額。従来の陸海空に加え、宇宙やサイバーなどカバーする領域も拡大している。政府は昨年末に閣議決定した来年度予算案で防衛費を過去最大の8兆4748億円とした。

対象領域が拡大し、予算が増額されれば必然的に調達する装備品の種類や数も増える。良質な装備品の調達を続けるには、業者に求める仕様を精査し、納入される装備品の質を見極める専門的な見識が求められる。

だが、防衛関係者は「自衛隊や防衛省では運用面での人員補充が優先され、調達の専門家が十分に育っていない」と指摘する。

吉富教授も、自衛隊での競争入札における仕様書のチェック体制は人数面でも不十分だと分析。「安全保障に影響する問題。諸外国のように第三者に委託するなど、チェック体制を再考する必要があるのではないか」としている。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)

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