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親しみやすいイラストで交通事故根絶へ 千葉県警銚子署の中束紗那巡査が啓発ポスター作成

産経ニュース 2024年8月20日 12時43分

行楽などで外出機会が増える夏休みシーズンの交通事故を防ごうと、県警は新たに事故防止の啓発ポスターを作成した。デザインしたのは、銚子署交通課の中束紗那(なかまる・すずな)巡査(23)。親しみやすい絵柄で内容も分かりやすい。銚子市内をはじめ県内各地の商業施設などで順次、掲示されている。

啓発ポスターは、大きな文字で「悲惨な交通事故の根絶へ」と訴えかける。高齢者の運転免許証返納や反射材の着用を呼び掛ける人物が柔らかなタッチで描かれ、これまでの堅苦しいポスターとは異なる。

車両が横断歩道に進入する際は「ゼ(前方)」「ブ(ブレーキ)」「ラ(ライト)」の3点に注意するよう、愛らしいシマウマがドライバーに歩行者優先の「ゼブラ・ストップ」の徹底も促す。

高校時代は「帰宅部」だったという中束さん。本格的に絵を描いたり、デザインしたりした経験はなかった。ただ、高校3年の夏、自転車で通学中に右折してきた車両と衝突し、けがをした。「体が痛くなったら救急車を呼ぶから」。親身に対応してくれた交通警察官の心遣いに胸を打たれ、自らもその道に進んだ。

今度は自分が交通事故を防止する役割を担う。昨年6月、県警本部での研修中、成田市内で横断歩道を渡っていた高校生2人が信号無視のトラックにはねられ、うち1人が命を落とした。

中束さんは事故現場に入り、防犯カメラ画像の収集などを手伝った。自分と年齢の近い高校生の被害に「2人は何も悪くないのに…」と、やるせなさで涙が止まらなかった。

「悲しい思いをする人を減らしたい」「観光客であふれる夏の銚子の事故を防ぎたい」。こんな思いを込めて、タブレット端末を駆使してポスターづくりに挑戦した。誰の目にも留まるような、インパクトのあるデザインにしようと心がけたという。

目指すは被害者に寄り添う交通警察官。「県内は交通事故が多いが、ポスターを見てもらい、少しでも防ぎたい」と話す。(松崎翼)

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