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石破茂首相と面会の拉致家族「北は被害者の所在把握」、改めて事務所開設に反対

産経ニュース 2024年10月17日 19時6分

北朝鮮による拉致被害者家族が17日、石破茂首相と面会し、日朝双方への連絡事務所開設という首相案に改めて反対の意向を示した。北朝鮮は被害者の所在をすでに把握しており、この期に及んでの開設案は有用性も実効性もないと判断していることが背景にある。

事務所開設で首相と拉致家族間に温度差

「連絡事務所などの設置は求めていないことを、公式の場で公式に言えたことは意味があった」。面会後、取材に応じた家族会代表で、横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(56)は、手応えを口にした。

事務所開設を巡っては、首相は6年ほど前から拉致問題解決に向けた政策として必要性を主張し続けており、今年9月の自民党総裁選でも政策集に明記した。

一方、家族らは、北朝鮮情勢に詳しい専門家や脱北者らの情報を基に、被害者は人質として厳重な監視下に置かれていて、北朝鮮側はすでに所在などを把握済みと認識。さらには、欧州各国など北朝鮮に大使館を置く国の外交官ですら厳しい行動制限がかけられる中、仮に平壌に事務所を設置しても、日本側スタッフが実効性のある調査を実施するのは不可能との立場をとってきた。

首相の姿勢評価、進展に期待

この日の面会で、首相から事務所関連の発言はなかった。めぐみさんの母、早紀江さん(88)は取材に、「首脳同士が忌憚(きたん)なく、思いやりを持って話し合うことが大切だ」として、日朝首脳会談の早期実施を切望。弟の哲也さん(56)は前任の岸田文雄政権時代、首相直轄の「ハイレベル協議」が水面下で進んでいたとみられることを念頭に、「交渉の糸を切らさず、結果を出してほしい」と求めた。

平成9年3月の家族会結成以来、家族が面会した首相は石破氏で13人目。早紀江さんや有本恵子さん(64)=同(23)=の父、明弘さん(96)は、体調が万全ではない中で官邸に出向いたが、残された時間は少ない。

拓也さんは、首相が拉致問題を「国家主権の侵害」と位置付けたことに触れ、「これまで面会した首相で、ここまで強く言ったのは初めてだと思う」と指摘。「拉致問題を必ず自分の代で解決するという強い意志を感じた」として、事態進展に期待を込めた。(中村翔樹、橘川玲奈)

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