フィリピンで活動する暴力団系の日本人集団とされる「JPドラゴン」のメンバーが19日、警視庁に逮捕された。フィリピンから日本国内に特殊詐欺や広域強盗の指示を出していた「ルフィ」などと名乗るグループとの接点も指摘されるが、活動実態は謎が多い。警察当局は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と位置付け、警戒を強めている。
19日午後3時過ぎ、警視庁の捜査員らに連れられて成田空港の通路に姿を現した小山智広容疑者。黒のパーカーに身を包み、フードを被ってマスク姿で終始うつむいたままだったが、しっかりとした足取りで進んだ。
関係者などによると、JPドラゴンは、マニラ周辺で活動。組織を立ち上げたのは、30年ほど前にフィリピンに渡った日本の元暴力団関係者の男性とされる。フィリピンでは詐欺や恐喝など違法なビジネスに組織的に関与し、日本の暴力団組員とのつながりもあるという。組織には日本人のほか、中国人や韓国人も在籍し、構成員らが共通の入れ墨をしていることで知られている。
活動実態に不明な点も多いが、徐々に包囲網は狭まっている。今年6月には福岡県警がフィリピンから移送されたJPドラゴンのメンバーの男を初めて摘発した。男は詐欺や窃盗などの容疑で5回逮捕されたほか、大阪府警でも組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで逮捕された。
小山容疑者の逮捕により、警視庁捜査2課は国内の犯罪組織とJPドラゴンの関係や、組織の実態解明などを進める。