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昨年の特殊詐欺被害額は過去最悪153億円、警察官かたる手口急増 1件あたりも高額化

産経ニュース 2025年2月10日 21時51分

警視庁は10日、令和6年に認知した特殊詐欺の被害状況をまとめ、発表した。件数は3494件と前年比19・7%増、被害額は約153億1000万円で同87・9%増と急増し、件数では過去最悪だった平成30年に次ぐ規模に、被害額では同年を超えて過去最高となった。「逮捕状が出ている」などと警察官をかたる手口が急増し、周りに相談せず何度もだまされるなどし、1件あたりの被害額も高額化している。

オレオレ詐欺最多

特殊詐欺の認知件数は令和4、5年は減少していたが、6年は再び増加に転じた。被害額は過去10年以上、60~80億円台で推移してきたが、6年は、2倍近くの153億1000万円に急増した。

類型別でみると、「オレオレ詐欺」が前年比91・2%の大幅増となる1566件で最多。次いで、「払い戻しがある」などとうたう「還付金詐欺」が782件▽パソコンの修理費やインターネットサイトの利用料金などとして現金をだまし取る「架空料金請求詐欺」が468件▽「キャッシュカードが悪用されている」などと虚偽説明をする「預貯金詐欺」が362件▽「キャッシュカード詐欺盗」が249件だった。

1件あたり高額化

被害額でも、オレオレ詐欺が108億8600万円で最多。次いで架空料金請求詐欺の約19億5800万円、還付金詐欺の16億6900万円と続いた。

1件あたりの被害額が高額化し、「1千万円以上」の被害は、件数では320件で全体の9・2%だが、被害額では62・5%を占めた。同じ被害者が何度もだまされる傾向がある。警視庁の担当者は「ネットで誘導される場合は、気がつくまで何度も振り込んでしまう」とする。

オレオレ詐欺では、「逮捕状が出ている」などと警察官をかたるケースが1566件中806件と半数近くを占めた。警視庁管内では、地方の警察をかたり、遠方で会えないことを理由に事情聴取などの名目で通信アプリなどに誘導する手口もみられる。警視庁は「警察官がアプリなどの使用を誘導することはない」として注意を呼びかけている。

「正規番号確認を」

犯行に利用された電話番号の7割が国際電話だった。銀行員などの目をかいくぐるインターネットバンキングを介した被害も急増。現金を振り込んだ被害1936件のうち、ネットバンクを利用した被害が707件で、前年から594件増加した。

警視庁は対策として、「ナンバーディスプレーの活用や、いったん切って正規の番号を確認してかけ直してほしい」と呼びかけた。(海野慎介)

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